ITパスポート講座の講師ブログ

なぜ、そんなことになるの?

皆さん、こんにちは。

ここ数年、格差社会と騒がれ始め、
特に子どもの貧困が大きな問題となっています。

自らの怠惰のために貧困になったのであれば自業自得ですが、
各種調査によると、最近の貧困問題
(特に子どもの貧困問題)はそうではないところに原因があるようです。

最近の貧困問題の特徴は、貧困にならざるを得ない
(個人の努力ではどうしようもない)状況に
追い込まれることで生じていることがわかってきました。

特に子どもの貧困は生まれる家庭環境のみに依存します。
だからこそ、自ら生まれる場所を選べない=否応なしに貧困に追い込まれる子どもに対しては、
その子どもが最低の健康で文化的な生活ができるように、
税を使った政府による社会的な支援が必要とされます。
何でもかんでも支援すればいいというわけではありませんが、
何の責任もない子どもに衣食住と教育だけは提供するのが政府の責任だと思われます。

しかしです。日本ではとてもおかしなことが起こるのです。
なんと、子どもの貧困率は政府による支援前(13%)よりも
支援後(16%)のほうが高くなってしまうんです。

ここでいう貧困率とは、日本の世帯全体に占める、
中央値の半分以下の可処分所得
(収入から税・社会保険料を差し引いた後の金額)しかない世帯の割合であり、
あくまでも相対的な指標です。

平成21年では、可処分所得の中央値は250万円、
その半分である125万円の可処分所得しか得られない国民が16%もいるそうです。

支援前よりも支援後の貧困率が高くなるということはどういうことでしょうか? 
貧困率の定義からすると、政府の支援により貧困率が高くなるということは、
貧困層にいる人たちへの支援より、貧困層“ではない”人たちへの支援が大きいということです。

とすれば、政府は個人への支援を行うことによって
格差を拡大させているということになってしまいます。

ちなみにOECDに加盟している国(ほとんどが先進国)の平均は、
政府による支援前の貧困率が20.5%であるのに対して、
政府支援後の貧困率は12.2%です。

政府支援前の日本社会の貧困率は世界の平均をかなり下回る一方、
政府支援後の貧困率は世界の平均を上回る状況になってしまいます。
この状況をどう解釈すればいいでしょうね?