社会保険労務士講座の講師ブログ

在職老齢年金

みなさん、こんにちは。
フォーサイト専任講師の加藤です。
師走の忙しい中、ちゃんと勉強を進めていますか?

さて、今回は、年金の話です。

厚生年金保険に報酬と老齢厚生年金との間で調整を行う仕組みがあり、
それを一般に「在職老齢年金」といいます。

この在職老齢年金について、
「低在老」とか「高在老」という呼称が用いられることがあります。
在職老齢年金は、特別支給の老齢厚生年に係るものと、原則の老齢厚生年金に係るものが
あり、原則の老齢厚生年金に係るものを「高在老」と呼びます。
これは、65歳以上の高齢者を対象としたものであることから「高年齢者在職老齢年金」
といい、その略称として「高在老」としています。
では、「低在老」とは?
年齢が低い(低年齢)という意味合いと思われてしまうことがありますが、
正しくは「低所得者在職老齢年金」の略称です。
つまり、「所得が低い者を対象とした在職老齢年金」ということです。 

在職老齢年金制度は当初、低所得である高齢者の暮らしの安定が目的でした。
厚生年金は当初、老齢年金の要件に「退職」がありました。
そのため、在職中は老齢年金が支給されませんでした。
しかし、当時、高齢者が低賃金で就労する場合が多く賃金だけでは生活できないという
問題があり、在職中でも年金を支給する特例が設けられたのです。
それが在職老齢年金であり、「低所得者」向けということから「低所得者在職老齢年金」
と呼称しました。

ちなみに、「高年齢者在職老齢年金」と「低所得者在職老齢年金」、
いずれも法律上の用語ではなく、一般的な呼称です。
なので、これらの呼称が試験に直接的に出題される可能性は低いですが、
知っておいても損はないでしょう。

それでは、今回はこれで。