社会保険労務士講座の講師ブログ

雇用保険の国庫負担

みなさん、こんにちは。
フォーサイト専任講師の加藤です。

風邪をひいたりしていませんか?
もし風邪をひいてしまったのであれば、無理をしないようにしましょう。

さて、今回は、雇用保険の国庫負担についてです。
現在、負担割合に暫定措置が設けられています。
この経過措置は、平成31年度(令和元年度)までの措置です。
では、令和2年度以降はどうなるのかと気になる方が多いと思いますが、
まだ決まっていません。
今後、国会で審議され、どうなるのかが決まるので、気になる方、
もうしばらくお待ちください。

ところで、この国庫負担について、対象となる給付と対象とならない給付があります。
この点は試験で何度も論点にされています。
なぜだろうという疑問が生じることもあるでしょう。

そこで、雇用保険の保険事故である失業については、政府の経済政策、雇用政策と
無縁ではなく、政府もその責任の一端を担うべきであることから国庫が失業等給付
に要する費用の一部を負担することとしています。
また、求職者給付だけでなく、雇用継続給付についても国庫負担を行うのは、雇用
の継続が困難となる失業に準じた状態を保険事故とする給付であり、この状態を
そのまま放置すればさらに深刻な保険事故である「失業」に結びつきかねないもの
であることから、「失業」を保険事故とする求職者給付に準じた国庫負担を行うのが
適当であることによります。

ただ、高年齢求職者給付金の支給を受けられる者は、通常、老齢基礎年金の支給を
受けられ、その老齢基礎年金には国庫負担が行われているので、国庫負担が重複し
ないよう、高年齢求職者給付金の支給に要する費用には国庫負担を行わないように
しています。
また、高年齢雇用継続給付は、元々は国庫負担の対象とされていましたが、給付その
ものを段階的に廃止して行こうという議論があったことや財源の問題などから、平成
19年度から対象から外されています。

これらの給付のほか、就職促進給付と教育訓練給付も国庫負担の対象ではありません。
これは、就職促進給付については、失業中の生活保障を目的として支給する求職者給付
とその性格が異なり、受給資格者の再就職の促進を図るために付加的に支給するもの
であること、教育訓練給付については、失業や失業に準ずる保険事故が発生した場合に
生活や雇用の安定の確保を目的として、喪失した賃金の一定割合を支給する求職者給付
や雇用継続給付とその性格を異にしているため、国庫の負担の対象とはしていません。

では、今回は、これで。