社会保険労務士講座の講師ブログ

国民医療費

みなさん、こんにちは。
フォーサイト専任講師の加藤です。

冬は寒い、当たり前ですが、寒いのが苦手の方は、これからの時期、
朝が辛くて、寝坊がちになるかもしれませんね。

さて、今回は、「国民医療費」についてです。

国民医療費とは、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療
に要した費用を推計したもので、この費用には、医科診療や歯科診療にかかる診療費、
薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等が含まれます。
一般的な言い方をすれば、医療保険等が適用される医療に要した費用といえます。

これを、毎年、厚生労働省が公表していますが、公表内容が社会保険労務士試験に
出題されています。
例えば、平成17年度試験の選択式で、

近年、国民医療費は経済(国民所得)の伸びを上回って伸びており、国民所得の約
( D )%を占めるに至っている。中でも国民医療費の( E )を占める老人
医療費の伸びが著しいものとなっている。

という出題があります(答えは D:8 E:3分の1 です)。
このほか、択一式での出題もあります。
であれば、当然、国民医療費の動向を知っておく必要があります。

令和3年11月9日に、「令和元年度 国民医療費」が公表されています。
これによると、
令和元年度の国民医療費は44兆3,895億円、前年度の43兆3,949億円に比べ
9,946億円、2.3%の増加となっています。
人口一人当たりの国民医療費は35万1,800円、前年度の34万3,200円に比べ
8,600円、2.5%の増加となっています。
国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は7.93%(前年度7.79%)、
国民所得(NI)に対する比率は11.06%(同10.79%)となっています。
いずれも長期的に増加傾向です。
そのため、国民所得に対する比率は、平成17年度試験の出題時に比べると
かなり高くなっています。

それと、制度区分別にみると、
公費負担医療給付分は3兆2,301億円(構成割合7.3%)、医療保険等給付分は
20兆457億円(同45.2%)、後期高齢者医療給付分は15兆6,596億円(同35.3%)、
患者等負担分は5兆4,540億円(同12.3%)となっています。

「医療保険等給付分」は45.2%と半分近く占めていて最も大きな割合になって
いますが、「後期高齢者医療給付分」が35.3%を占めています。
「35.3%」、おおよそ「3分の1」が高齢者医療で占めているということで、
平成17年度試験の選択式の空欄の1つが、この割合です。

このような統計数値、細かくまでは覚える必要はありませんが、
おおよそどれくらいなのか、知っておきましょう。