年金アドバイザー3級講座の講師ブログ

在職老齢年金の廃止が検討」というニュースが、ときおり、世間を騒がせます。それに対して、「年金をカットするなんて最低だ」「保険料を払っているのに、何てことだ」といった反応を示される方が、一定数いらっしゃいます。

 確かに、「年金」と「廃止」がセットで表記されると、あたかも「年金カット」であるかのように聞こえてしまうので、反応としては分からなくもありません。

 しかし、「在職老齢年金」とは、老齢年金を受給している人が、同時に働いて給与収入を得ている場合に、その年金受給額と給与収入の額が一定額を超えると、年金の支給を減らすというものです。「そんなに稼いでいるんだから、年金は満額払わなくてもいいよね」という趣旨の制度なのです。

 それを廃止するということは、何を意味するでしょうか。少なくとも「年金カット」ではないですよね。むしろ、老齢年金を受給している人にとっては、働いても年金が満額もらえるということなので、良いことなのです。だからといって、皆が手放しで喜べるものでもありません。

 次回以降は、在職老齢年金について、その廃止が何を意味するのかを含め、詳しく検討していきたいと思います。

 前回までの内容をもとに、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の計算を行います。

【事例】
 昭和35年5月17日生まれの男性である田中さんは、64歳から特別支給の老齢厚生年金を受けることができます。

 田中さんは、昭和58年4月に厚生年金保険の適用事業所に使用され始め、令和2年3月31日に退職するとします。そのため、厚生年金保険の被保険者期間は全部で444カ月です。

 平均標準報酬月額は320,000円、平均標準報酬額は400,000円でした。

 田中さんに支給される特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分の支給額はいくらでしょうか。

【処理手順】
被保険者期間を、平成15年3月以前と、平成15年4月以後に分けます。

すると、

(1)昭和58年4月~平成15年3月→240カ月
(2)平成15年4月~令和2年3月→ 204カ月

(1)の期間に平均標準報酬月額×7.125/1,000をかけ、(2)の期間に平均標準報酬額×5.481/1,000をかけます。

【計算】
320,000円×240カ月×7.125/1,000+400,000円×204カ月×5.481/1,000
=547,200円+447,249.6円≒994,450円

となります。

お時間のある方は、その1から記事を見返していただけると幸いです。

年金学習における最大のつまずきポイントである老齢厚生年金につき、前回に引き続き、特老厚の報酬比例部分の額の計算についてとりあげます。

今回は、
①平均標準報酬月額と平均標準報酬額の違いは何か。
②平均標準報酬月額と平均標準報酬額でかける値が違うのはなぜか。
③なぜ平成15年4月が境目となっているか

のうち、
③なぜ平成15年4月が境目となっているか

について取り上げます。

前回までの復習ですが、

・平均標準報酬額…賞与を含んでいて単価が高いので、1,000分の5.481をかけ、
・平均標準報酬月額…賞与を含まずに単価が低いので、1,000分の7.125をかける

という違いがありました。

この、賞与を含むかどうかの境目の年月日が平成15年4月なのです。
平成15年3月までは、賞与に対しては社会保険料がかかりませんでした。
しかし、平成15年4月以降は、賞与に対しても社会保険料がかかるようになりました。
そして、賞与にかかった社会保険料の分だけ、将来の年金の受給額に反映されるようになったのです。これを、「総報酬制」とよびます。

まとめると、賞与からも社会保険料を徴収し、将来の年金額の反映させる「総報酬制」が導入されたのが平成15年4月なので、それより前とそれ以後で、計算式が異なるのです。

次回は、今までの学習内容を使って、事例問題を解きたいと思います。

 年金学習における最大のつまずきポイントである老齢厚生年金につき、先週に引き続き、特老厚の報酬比例部分の額の計算についてとりあげます。

今回は、
①平均標準報酬月額と平均標準報酬額の違いは何か。
②平均標準報酬月額と平均標準報酬額でかける値が違うのはなぜか。
③なぜ平成15年4月が境目となっているか

のうち、
②平均標準報酬月額と平均標準報酬額でかける値が違うのはなぜか。

について取り上げます。

先週の復習ですが、
・平均標準報酬額…賞与を含む
・平均標準報酬月額…賞与を含まない
という違いがありました。
たとえば、毎月の給料が30万円で、1年間に支払われる賞与の合計が120万円で、年収が480万円(30万円×12カ月+120万円)であれば、
平均標準報酬額は、480万円÷12カ月=40万円となる一方、平均標準報酬月額は360万円÷12=30万円となります。

このように、年収が同じ人であっても、平均標準報酬額のほうが、平均標準報酬月額よりも単価が高くなるのです。
そのため、単価が高い平均標準報酬額にかける値を、単価が低い平均標準報酬月額にかける値よりも小さくすることで、両者のバランスをとっているのです。

具体的には、
・平均標準報酬額には、1,000分の5.481をかけ、
・平均標準報酬月額には、1,000分の7.125をかけます。
平均標準報酬額にかける値(1,000分の5.481)のほうが、平均標準報酬月額にかける値(1,000分の7.125)よりも小さくなっていますね。

次回の記事では、③なぜ平成15年4月が境目となっているかについて取り上げたいと思います。

年金学習のつまずきポイントその5

年金学習における最大のつまずきポイントである老齢厚生年金につき、先週に引き続き、特老厚の報酬比例部分の額の計算についてとりあげます。

今回は、
①平均標準報酬月額と平均標準報酬額の違いは何か。
②平均標準報酬月額と平均標準報酬額でかける値が違うのはなぜか。
③なぜ平成15年4月が境目となっているか

のうち、

①平均標準報酬月額と平均標準報酬額の違いは何か。

について学習します。

先週の復習ですが、特老厚の報酬比例部分の額は、以下の数式によって計算します。

報酬比例部分の額=
平均標準報酬額×1,000分の5.481×平成15年4月以後の被保険者期間の月数
                 +
平均標準報酬月額×1,000分の7.125×平成15年3月以前の被保険者期間の月数

平均標準報酬額とは、毎月の給料に加えて、賞与の額を含めて、1月あたり平均いくらの報酬をもらっているかを指します。大まかなイメージとしては、毎月の給料が30万円で、1年間に支払われる賞与の合計が120万円で、年収が480万円(30万円×12カ月+120万円)であれば、平均標準報酬額は、480万円÷12カ月=40万円になります。

一方で、平均標準報酬月額とは、賞与の額を含めずに、1月あたり平均いくらの報酬をもらっているかを指します。大まかなイメージとしては、毎月の給料が30万円で、1年間に支払われる賞与の合計が120万円で、年収が480万円(30万円×12カ月+120万円)であれば、平均標準報酬月額は、(480万円-120万円)÷12カ月=30万円になります。

このように、
・平均標準報酬額…賞与を含む
・平均標準報酬月額…賞与を含まない

という違いがあります。

次回の記事では、②平均標準報酬月額と平均標準報酬額でかける値が違うのはなぜか。
について取り上げたいと思います。

年金学習のつまずきポイントその4

年金学習における最大のつまずきポイントである老齢厚生年金につき、今回は特老厚の報酬比例部分の額の計算についてとりあげます。

報酬比例部分は、被保険者期間において稼いだ報酬の総額に比例して増えます

これを数式で表現すると、

報酬比例部分の額=
平均標準報酬額×1,000分の5.481×平成15年4月以後の被保険者期間の月数
                 +
平均標準報酬月額×1,000分の7.125×平成15年3月以前の被保険者期間の月数

となります。

年金アドバイザー3級試験では、理屈が分かっていなくても、上記の数式を覚えていれば、問題を解くことは可能です。さっそく問題を解いてみましょう。新元号の令和も登場します。

【問題】
昭和55年4月に㈱二神商事に入社した昭和35年5月生まれのAさんは、令和3年3月に、同社を退職しました。同社は厚生年金保険の適用事業所で、Aさんは、㈱二神商事で勤務した期間以外には、厚生年金保険の被保険者期間を有していません。Aさんの平均標準報酬額は40万円、平均標準報酬月額は30万円です。Aさんが受け取れる特老厚の報酬比例部分の額はいくらでしょうか。

【解答・解説】
被保険者期間を、平成15年4月以後と、平成15年3月以前に分けます。

すると、
①平成15年4月~令和3年3月
②昭和55年4月~平成15年3月
の2つに分かれます。どちらも元号をまたでいますが、
「平成に+63で昭和」「令和に+30で平成」となるので、
①平成15年4月~平成33年3月…216カ月(12カ月×18年)
②昭和55年4月~昭和78年3月…276カ月(12カ月×23年)
だと分かります。

あとは、報酬比例部分の額を求める数式に代入して、

Aさんが受け取れる特老厚の報酬比例部分の額は
400,000円×1,000分の5.481×216カ月+300,000円×1,000分の7.125×276カ月
1,063,508円(50銭未満を切り捨て)

となります。

次回の記事では、
・平均標準報酬月額と平均標準報酬額の違いは何か。
・平均標準報酬月額と平均標準報酬額でかける値が違うのはなぜか。
・なぜ平成15年4月が境目となっているか

について触れます。

【補足】
生年月日が昭和35年5月と記載してあることの意味が分からない方は、前回の記事をご覧いただけますと幸いです。