簿記講座の講師ブログ

日本にとってお得なのはどちら? -TPPとFTA

皆さん、こんにちは!
簿記講座担当の小野です。
まだまだ連休の疲れがとれませんが、皆さんは全開ですか?

アメリカと中国が貿易でバチバチやっている一方で、
TPPから抜けたアメリカがTPPに復帰すると言ったかと思えば、
やっぱり復帰しない、FTAだと言ったりして、いったい日本はどうすればいいの? 
と思ってしまう今日この頃です。
アメリカとの関係が日本の経済に大きな影響を与えますから、
日本にとってTPPとFTAのどちらがいいのか真剣に考えたいところです。

FTAとは自由貿易協定(Free Trade Agreement)のことで、
2カ国以上の国・地域が関税や規制を取り払って、モノ・サービスを自由に貿易するための決まりです。
2カ国以上でも締結できますが、主に2国間で交わされる貿易協定です。
ということは、力が強い国が弱い国にごり押しすることが可能になります。

TPPとは環太平洋パートナーシップ協定(Trans-Pacifc Partnership)のことで、
太平洋を囲んでいる11カ国で自由に貿易しましょうという自由貿易グループのことです。
11カ国も集まると合意が大変ですが、どこかの1カ国に極端に有利な条件がなくなり、
多くの区にとって公平に近づきます。

また、モノ・サービスだけでなく、人の移動や知的財産権の保護など、
FTAよりも幅広い分野で自由に経済取引をするための取り決めであり、
TPPのほうがより多くの面で幅広くて、納得しやすい協定です。

グローバル化の時代、多くの国と貿易し、同じ製品を複数の国に売るのですから、
売るときのルールは同じがいいわけです。
TPPでは関税だけではなく、規制の撤廃にまで踏み込みます。

例えば、車の排気ガス成分の規制が国ごとに異なったら、
複数の国に輸出する場合、最も厳しい国の規制にあわせて車を作る必要が出てきますね。
国ごとに作る車を変えるのはコストがかかりすぎますから。

その結果、規制が緩い国に厳しい規制に合わせた(コストの高い)車を売ることになり、
規制が緩い国の安いコストで作られた車に勝てなくなります。

結果として、緩い国の経済全体では競争が少なくなり、進歩が遅くなってしまうわけです。
TPPの場合、すべての国が同じ土俵で経済取引を行うので、あらゆる国での生産性が高まります。
自由に貿易すれば、結局は経済的レベル(豊かさ)が向上するので、TPPという枠組みを作る方向に進んだわけです。

そんな中、アメリカは交渉途中のTPPから脱退しました。それはなぜでしょう?
経済全体でみればTPPは経済水準を高めるけれども、
業界ごとにみると苦しい業界が出てくるためだと言われています。

例えば鉄鋼の場合、アメリカの製品よりも日本などの製品が優れています。
その場合、アメリカの鉄鋼業は苦しくなりますね。

もちろん逆のケースもあります(IT産業など)もあります。
ただ、トランプ大統領の支持者は、TPPによって衰退する産業に属している人が多いようなんです。
だから、その人達(への公約を果たす)ために離脱したというのが最も大きな理由と言われています。

TPPから抜けると、アメリカ全体の景気は悪くなるでしょう。
でも、景気悪化の影響を最も受ける人々はトランプ大統領の支持者ではないので、
トランプ大統領にとって関係ないのでしょうね。
 
その後、トランプ大統領は日本とFTAを締結するための交渉をしたいと言い始めています。
でも、アメリカとFTAを締結するのは恐いですよね。
戦後、経済関係ではさんざん不利な条件を突きつけられてきたわけですし、
可能性として最も高いと考えられるのは、防衛の問題と絡めてきて、
防衛をアメリカに委ねている日本は不利な取引条件を飲まされるということです。
 
30年前、日本にとってアメリカとの貿易額=アジアとの貿易額でした。
でも今はアジアとの貿易額がアメリカとの貿易額の3~4倍で、
そのアジアの国の多くがTPPに参加しています。

アメリカとの関係も大事ですが、アジアとの関係も大事だと思うんです。
先ほど防衛の話を取り上げましたが、過去の戦争はすべて経済的な原因から生じています。
アジアとの経済活動を重視し、不快経済的な関係を築くことで、
結果として日本の防衛力を高めることにも繋がるのではないかと思います。

だからこそ、日本としてはTPPをどんどん推進し、
アジア各国との経済的な関係をもっともっとよくして、
できればアメリカも引き込むというのが最もよい戦略だと思うのですが、
皆さんはどう思いますか?