簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

皆さん、こんにちは!
簿記講座担当の小野です。
エアコンで体調が崩れやすくなる時期ですが、
うまいこと調整しましょうね。 

日本は人口減少時代を迎え、様々な場面でこれまでのやり方を変える
必要が生じているのはご承知の通りです。
はやいところ手を付けなければならないものの1つが水道事業だと思います。
蛇口をひねるといつもきれいな水が出てくるというのは日本では普通のことですが、
その裏では様々な課題が持ち上がっています。

結論から言うと、日本の水道料金が安すぎて、
自治体単位での運営が限界に近付きつつあり、運営側だけではなく、
利用者の側も真剣に考えなければならない問題なんです。

日本の水道料金はかなり安いほうです。自治体によって違いはありますが、
例えば、千葉県で考えると、海外の同規模の都市の公営水道と比べると半額以下であり、
同規模の民営水道の2/3くらいです。

私たちは、世界最低水準の料金で、どこでもきれいな水が必ず出るという
世界最高水準の水道サービスを受けているんです。
ですから、利用者側は、現状を把握して、
この料金でどこまでサービスを求めるべきかを考える必要があると思います。
 
日本では、消費者がサービス業に対して要求する水準が高く、
それによってサービス水準が上がってきたといわれています。
ただし、そのコストはサービス業を営む企業・従業員が負担していることを思い出すべきです。
例えば、最大限のおもてなしとか、超長時間労働とか、ワンオペとか、スマイルゼロ円とか…。
それが水道事業でも起きつつあるのが現状です。

だから、その安すぎる水道料金が、運営の中心になっている自治体
(そこから発注を受ける未完水道業者)を圧迫し始めています。概ね、
  
・給水人口5万人以下:赤字
・給水人口5~30万人:損益トントン
・給水人口30万人以上:何とか黒字(ただし、売上高利益率はたった0.4%!)

水道事業は自治体によって運営され、原則として独立採算制です。
水道事業は規模の経済(客が増えるほど、客一人当たりにかかるコストが少なくなる)がはたらくので、
人口が多い地域が有利です。
採算を取るためには収入(水道料金)を増やすか、コストを抑えるかのいずれかが必要です。
日本の場合、コストを抑える努力は結構なされているけど、料金の低さが問題だと思います。

例えばコストについて、水道事業は規模が大きいほうが有利ですから、
ひとつではなくていくつかの自治体が一緒になって運営すると、採算はとりやすくなります。
その動きはすでに始まっていて、
例えば私が住んでいる千葉県では、袖ケ浦、木更津、君津、富津の4市が水道事業を統合し、
平成31年度から業務を開始する予定です。

他にも、料金徴収部門やお客様センターなど、自治体が運営している生活インフラに関する
間接業務を統合する動きが各所であります。
規模を確保したうえで民間の知恵を入れて、
より効率的に運営する体制を作る必要があるでしょう。

世界を見渡してみると、民間企業が入っているケースが多々あります。
フランスのスエズ、ヴェオリアといった企業が世界の水道事業の巨頭で、
ヴェオリアはすでに日本で子会社を作り、広島や埼玉の水道施設の運営を受託していますね。
日本勢も、明電舎、富士電機といった企業が水道施設の運営に参入し始めています。
ただ、海外勢と比べると歴史が浅く、ノウハウ蓄積中の状態です。

水道設備は生活インフラの中でも私たちの生存に関わる部分なので、
供給される水量も価格も安定している必要がある。
その点を重視した効率性を考えていくべきです。

世界の流れを見てみると、単に「水道料金は安く、コストを抑えろ!」
という主張をしているだけでは、
海外企業に水道設備をすべておさえられる可能性も否定できません。

実際に、水源地が海外投資家に買い占められ、
自治体が外国人による土地取得を制限するなんて事例も出始めていますよね。
快適な生活にはそれなりのコストがかかることを意識しなければいけないと思います。

このように、今、私たちの生活インフラである水をめぐる環境が
海外勢の攻勢にさらされる可能性が高まってきています。

私たちは、原発にあれだけ敏感になれるのですから、
水にも敏感になって、様々な動きを注視していかなければなりませんね。



小野正芳

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