簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

皆さん、こんにちは!
簿記講座担当の小野です。
“食欲の秋”が近づいてきましたが、
このまま食欲があがるとマズイ今日この頃です。

最近、ドル高が進んでいますね。
ドルと円の為替レートは、過去20年の中でドルの価値がかなり高くなっていますし、
ユーロやポンドに対しても同じようにドルの価値が高くなっています。

また、以前話題にしたアルゼンチンやトルコなど新興国のお金に対しても、
ドルの価値がかなり高くなっていて、全世界のお金に対してドルの価値が高くなっている状態です。
なぜこんな状況になっているのでしょうか? 

それは、一言で言えば、ドルが基軸通貨だからです。
基軸通貨とは、国際的な取引で使われるお金のことです。
いろんな国と貿易するようになると、貿易相手ごとにその国の通貨を準備するのは面倒ですよね。

そんなときは、世界の政治・経済の中心になっている国の通貨を使うのが最も便利ですから、
現在は、貿易相手がアメリカではなくても国際的な取引はドルで行われるのが一般的です。
例えば、原油などのように世界中で流通しているモノはすべてドルで金額表示されているし(1バレル70ドル)、
円やユーロ(1ユーロ1.3ドル)などもドルで金額が表示されていますね。

そのため、グローバルな活動をしている人にとってドルが「唯一の通貨」であり、
それ以外の円やユーロなどは「本物の通貨ではない」という感覚なんです。
日本国内で考えると、円と地域通貨の関係、あるいは円とポイントの関係をイメージすればいいでしょう。

アメリカ政府の政策でドルの価値が決まり、
それに応じて全世界の通貨が価値が変化します。

今は、アメリカが金利を上げてドルの価値が高くなっているから、
世界の人々はいろんな国の通貨をドルに替えようとして、
ドルが高くなって、他の国の通貨がすべて安くなっている状況です。

逆にアメリカドルの価値が下がるような自体になると逆のことが起こります。

ただ、最初からドルが基軸通貨だったわけではなく、
1900年頃まではイギリスが世界政治・経済の覇権を握っていましたから、
ポンドが基軸通貨でした。いろんな所に植民地がありましたから、
国際的な取引もイギリスが最も活発にやっていました。

ところが、アメリカが1900年代前半に世界政治・経済の面でイギリスを逆転し始めました。
第1次世界大戦後にできた国際連盟の言い出しっぺはアメリカ大統領でしたし、
1900年頃から経済の中心である証券取引もNYがロンドンを上回り始めました。

そんな動きの中で、基軸通貨がポンドからドルに変わったわけです。
アメリカは1700年代後半に、ヨーロッパ各地からわたってきた人達が作った新しい国です。
国ができて、100年くらいで、古くから数百年にわたって(?)
世界を牛耳ってきたイギリスを逆転しちゃうという、すごいことが起きたわけです。

自分の国の通貨が基軸通貨になるといいことがたくさんあります。
シャルル・ド・ゴール元フランス大統領は「ドルはアメリカの法外な特権」といったくらいです。 
なんといっても、最大の特権は「世界中の富」を吸い上げられることでしょう。

世界の人々は国際的な取引をするためにドルを手に入れなければなりません。
そのために、世界の人々はアメリカに何かを差し出し、ドルをもらいます。
世界の人々がアメリカに差し出すのは、その国のお金かもしれないし、
モノかもしれませんが、ドルを手に入れるために、その国のお金を払ったり、
モノを渡したり、コストがかかります。

一方、アメリカ政府はドルを印刷するだけです。
最近は、銀行間取引が当たり前ですから、
アメリカの中央銀行がアメリカのどこかの銀行へドルを送金したという電子データだけでOKですから、
データ作成のための人件費くらいしかかかりません。
つまり、アメリカはほとんどコストをかけずに世界中からお金・モノを集めることができるというわけです!

こういうふうにみてくると、貿易戦争で経済がピンチとかいいながらも、
やっぱりアメリカは安泰なんだな、と思っちゃいそうです。
ただ、単純に相は言えなさそうです。
ユーロと中国元がちゃくちゃくとその座を狙っているからです。

ユーロは経済規模が大きいから最有力候補です。
ただ、豊かな国(ドイツ)からそうでもない国(東欧諸国)までいろんなタイプの国の連合体ですから、
団結力が課題になります。
ギリシャみたいな例もあるから、
世界中の人がユーロを無条件に信じるにはまだ時間がかかりそうです。

中国元は規模と成長性から有力候補ですど、
トップのやりたい放題の政策で、瞬く間に元の価値を上げたり下げたりが自由な状態になっているなど、
政治体制を信じることが難しい状況です。

でも、ユーロや元がこれらの弱点を克服したら、基軸通貨が変わり始めるかもしれません。
トランプさんが経済を混乱させて、ユーロや元の成長を助ける状況になっている現在、
一気に形勢逆転なんてことが起こるかもしれません(中国は起こしたくてたまらないでしょう)。

いずれにしても、アメリカが自分たちで世界のトップの地位から降りようとしている現在、
私たちに降りかかってきそうな悪影響に対して備えておく必要がありそうでね。



小野正芳

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