簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

のれんの償却

簿記講座担当の小野です。
今日もがんばっていきましょう!

2級ではのれんについて学習します。
他の企業を吸収合併し、その吸収合併した会社の純資産以上の金額を支払った場合には、
その超過額を「のれん」(資産:営業権みたいな感じ)として計上し、使用に応じて償却していきます。
「のれん」という長期間使う資産を「建物」みたいに使った分だけ費用にするわけですね。
 
でも、IFRS(国際会計基準)では「のれん」を計上しますが、償却はしません。
「のれん」は権利なので使っても価値は減らないという考え方です
(ただし、5年に1回くらい時価評価して、「のれん」の価値が減っていないかどうかチェックします)。

これはこれで考え方としてはありえますが、1つ弊害が出てきました。
多くの企業で「のれん」が激増してしまっているんです。
そして、この会計処理を使うために、IFRSで会計処理を行う日本企業が増えています。

たとえば、ソフトバンク。もう携帯電話会社は現状維持にして、
投資会社に衣替えし始めていますよね。
多くの海外企業を買収して、今や、24兆円の資産のうち4兆円が「のれん」であり、
貸借対照表に記載されています。

さて、この「のれん」。他の企業を吸収合併したときに払った金額ですから、
そのほかの企業が依然として高い収益力を保っていれば何の問題もありません。
一方で、「のれん」自体に換金価値はありませんので、他の固定資産と同じように考えるわけにはいきません。

企業が成長するためには、すべての新しい事業を自前手がけるわけにはいかず、
買収することで成長する戦略が必要な時代です。
そんな時代においては、こういう性質を持った勘定の金額が貸借対照表の中で大きな部分を占めるようになり、
さて、この意味をどう捉えるか?という問題が生じています。

こんな状況に対してIFRSは、「のれん」を償却する基準への変更を検討し始めました。
買収先の企業もいずれは悪くなる時期もあるのだから、
「建物」や「備品」と同じように償却しようという考え方です。

そうなると、IFRSと日本基準が近づくので、IFRSに変更しようとする企業が少なくなるかもしれませんね。



小野正芳

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