簿記講座の講師ブログ

どうなるイギリスのEU離脱?!

皆さん、こんにちは!
簿記講座担当の小野です。
年末年始に遊ぶために、何とか今がんばっておきましょう!

イギリスが国民投票でEU離脱を決めてからおよそ2年半が経ちました。
2019年3月29日の離脱が予定されており、そこから2年の移行期間を経て、
完全離脱というスケジュールです。

しかし、半年以内にイギリスは離脱後のEUとの関係をきめて
おかなければいけないのにその合意ができていないのが現状。
なぜ合意ができないんでしょうか?

それは、EUからみて、イギリスがいいとこ取りしようとしているように見えるからでしょう。
EU加盟国は、ヒト・モノ・サービスの動きを自由にするのが原則です。
でもイギリスは、東欧から移民が入ってきてイギリス人の職が奪われたから
移民受入をやめたいという理由でEUから抜けたい。

でも、自由貿易は続けたい…。
イギリスとEUでFTAを締結して、
モノ・サービスは自由に移動させるが、ヒトは自由に移動させない、
そういう都合のよい「合意」をしたいようです。

EUにとっては、移民受入と自由貿易はセットですから、
イギリス案はとんでもない! 却下!となり、
こんな感じで、「合意」に向けた話し合いが進まないわけです。

しかもイギリスのメイ首相は、
「イギリスがいなくなったら困るのはEUなんだから強気でいけ」というイギリス国内の声に押されて、
EUとの交渉では譲歩できない状況にも立たされている一方、
EU委員長は「ボールはイギリスにある」的な発言でイギリスが譲歩するのを待っています。

でも、まだ離脱まで半年あるのに、なぜ騒いでいるのか? 
まだ時間はあるんじゃないか?と思ってしまいますよね。

でもでも、2019年3月に離脱するためには、イギリス・EUとも、
議会で、必要な承認を取り付ける作業をやらなきゃいけなくて、
それに半年くらいかかりそうなんです。議会承認がなければ、離脱後の取り決めが全くない状態で、
イギリスとEUが全く関係ない国になります。

その瞬間、国境で、モノ・ヒト・サービスの移動がすべて止まるわけです。
「合意なき離脱」=経済活動の多くが一気にストップしてしまうということで大変になるんですね。

結構ヤバイですよね? 
イギリス側はメチャメチャ大変だと思います。
例えば、ロンドン(シティ)を拠点している金融機関は、離脱後、
フランスやドイツに拠点を移す予定だそうです。

ロンドンは全世界の為替取引の40%(年間10京円!)、
デリバティブ取引の50%(年間2京円!)が行われていますから、
相当な雇用などでロンドンを潤しているんですが、それが無くなってしまいます…。

サッカープレミアリーグでは、EU加盟国間では移籍自由だけど、離脱後は自由に移籍できなくなります。
例えば、マンチェスターシティの選手27名中、イギリス以外のEUの選手は14人! 
プレミアリーグは成り立つの?っていうレベルになっちゃいそうです。
さらに、イギリスの貿易の60%を占めるEU諸国との貿易に通関手続きが必要になり、
かなりの混乱が生じるでしょう。

では、EU側が受ける影響はどうなんでしょう?
もしかすると、移民を嫌がっているEU加盟国は多いので、
「うちも離脱!」という話に発展するかもしれません。
特にドイツは移民政策で国内政治が大変な状況に陥っていますから、
その動きをよく見ておく必要があるでしょう。
仮にドイツが離脱なんてことになったら、EUは崩壊してしまいます!

EU外への影響はというと、日本やアメリカはEUと貿易協定を結んでいるから、
日本・アメリカとイギリスの貿易は、現在、ある程度自由貿易状態。
でも、イギリスが離脱するとその協定を使えなくなりますから、
イギリスは個別に各国と協定を結ぶ必要が出てきます。

EUにしてみると、やっと作り上げたヨーロッパでの
ビジネスモデルをまた作り直さなければならないわけで、やっぱり厄介ですよね。。

つまり、イギリスのEU離脱は、ビジネスのやり方そのものを変化させてしまいます。
できれば離脱しない方向で考え直してもらいたい…ですね。