簿記講座の講師ブログ

分解して考える能力

簿記

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
連休はどれくらい休めるだろうか?? 逆に憂鬱だったりして。

 簿記では企業活動を様々な勘定科目で捉えます。
 現金出納帳で現金の出入りだけを記録するのではなく、あらゆる資産・負債・純資産・収益・費用科目を記録することによって、どのような活動をどのくらいうまくやってきたかを表すことができるわけです。つまり、企業活動を資産・負債・純資産・収益・費用という要素に分解して、活動の巧拙を考えていくわけですね。

 この時期は新生活が始まる時期です。新生活が始まるタイミングで多いのが保険への加入です。保険には本当に多くの種類があって、保険を扱っている会社もとても多く、自分にとってどれが最適なのか判断するのは難しいですよね。ここで1つ知っておきたいのは、分解して考えるということです。

 例えば、お子さんの大学入学資金を蓄えるために学資保険へ加入することを考えているとしましょう。このとき、いろんな会社から販売されている学資保険を比較するだけでは不十分なんです。というのは、学資保険というのは「貯蓄+生命保険」の組合せだからです。

 典型的な学資保険は、「子どもが高校卒業するまで毎月保険料を払い込んで、子どもが18歳になった3月(大学入学直前)に保険金を受け取る」契約です。つまり、基本は毎月積立の貯金なんですね。ただ、子どもが小さいうちに親が亡くなった場合には、それ以降の保険料の払込が免除されて、子どもが高校卒業するときには予定どおりの保険金を受け取ることができます。つまり、親がなくなった場合に備えた生命保険です。このように、学資保険は貯蓄機能と生命保険機能が組み合わされています。

 例えば、大学入学時に保険金を520万円受け取る学資保険を考えてみます。今は金利ゼロの時代ですから、金利のことを無視して考えてみましょう。なお、子どもの出生後18歳になるまでの17年間、保険料を支払うものとします。

 A社から販売されている学資保険では、毎月27,000円×12ヶ月×17年で約551万円を支払います。つまり、520万円の保険金を受け取るために、551万円支払うわけです。したがって、520万円が貯蓄、31万円が生命保険になっているわけですね。

 ということは、親はこの学資保険に入らなくても、17年にわたってコツコツ520万円になるまで貯蓄しながら、親自身が死んでしまったときには520万円の保険金が出る生命保険に入るという選択肢もありです(正確には520万円からすでに貯蓄した額を引いた保険金が出る生命保険)。B社の、死亡時保険金520万円の生命保険の保険料は、17年分で約15万円です。

 つまり、
  ・A社の学資保険に入った場合の生命保険料相当額:31万円
  ・貯蓄をしながらB社の生命保険に入った時の生命保険料相当額:15万円
となり、17年間で16万円もお得ということになります。

 逆に言えば、A社は、貯蓄と生命保険をまとめてセットにしてあげるサービスを16万円で売っているということです。そのサービスに16万円の価値があると考えるならば学資保険に入ればいいわけですし、自分で分解して考えたいから(もちろん手続きも少し面倒になりますが)保険会社のおまとめサービスはいらないと考える人は、貯蓄を行いながら生命保険にだけ入ればいいということです。

 簿記を勉強することで、経済活動を分解して捉えることを学んだら、日常の経済活動にもその視点を活かしていきたいですね。