簿記講座の講師ブログ

消費税と資本金

皆さん、こんにちは!
簿記講座担当の小野です。
はやく夏休みにならないかなぁ!

消費税と資本金と聞いても、どんな関係?と思ってしまいますよね?
でも、今、この関係がちょっとした問題になっています。

10月から消費税が8%から10%にアップします。そのとき、期間限定で中小企業が経営するお店で買い物し、キャッシュレス決済をした消費者はポイント還元を受けることができます。キャッシュレス決済を推進したい政府が、消費税増税時の中小企業の一時的な救済を目的に始めた優遇策ですね。
企業側も自分のお店がポイント還元できるお店なのかどうかは死活問題です。ポイント還元できるお店での買い物を望む消費者も多いでしょうから、自分が経営するお店でポイント還元できることをアピールできなければライバルにお客さんを取られてしまいます。

ポイント還元できるお店かどうかは中小企業かどうかで決まります。今回の制度(中小企業基本法)では資本金5,000万円以下の企業が中小企業とされています。そこで起きているのが、資本金を5,000万円まで減らす動きです。資本金1億円くらい(法人税法では資本金1億円以下の企業を中小企業として、いくつかの優遇を与えている)の企業が、ポイント還元できるように、資本金を5,000万円まで減らしているのです。

中小企業の多くは社長さんが株主で、資本金を減らしても、社長さんへ返金するだけで、もし資金が足りなくなれば社長さんが会社にお金を貸したり、比較的資金のやりとりに融通が利くのでしょうから、資本金を減らしたところで特段の不便はないのでしょう。でも、期間限定のポイントキャンペーンのために資本金を減らすというのは…。

以前、経営危機に陥ったシャープが資本金を1億円まで減らして税制上の優遇を受けようとしたときには、多くの批判が寄せられ、シャープは減資をやめました。その結果、経営がかなり難しくなり、台湾企業の傘下に入ることになったのは記憶に新しいところです。
今回も、多くのスーパーがポイント還元できるお店にならなければ生き残れないという状態なのでしょうか。だったら、ポイント還元そのものを辞めちゃえばいいのに、そうすればすべての小売店の条件がなるのだから、とも思ってしまったニュースでした。