簿記講座の講師ブログ

よくあるご質問 -逆算して貸借対照表項目の金額を求める-

 皆さん、こんにちは。 
 簿記講座担当の小野です。
 徐々に涼しい時期になってきました。体調管理には気をつけていきましょう!

 今回は、よくあるご質問を紹介しましょう。2級で貸借対照表を作成する問題が出題された場合、「繰越利益剰余金」と「未払法人税等」をどのように計算するかというご質問です。以前も一度取り上げましたが、ご質問の頻度も高いため、あらためて取り上げます。

 損益計算書を作成する問題であれば、損益計算書の下の方が「税引前当期純利益」であり、問題文に示された税率に従って、それを「当期純利益」と「法人税等」に分ければいいですね。そして、「繰越利益剰余金」の前期繰越と「当期純利益」を足せば、「繰越利益剰余金」の次期繰越額が分かります。また、「法人税等」から「仮払法人税等」を引けば、「未払法人税等」が分かります。

 でも貸借対照表を作成する問題の場合、いちいち損益計算書を作っていたのでは時間が足りなくなってしまいそうです。どうにかして、損益計算書(あるいは損益勘定)を作らずに「繰越利益剰余金」と「未払法人税等」を出す方法はないでしょうか?

 例えば、法人税率が50%としましょう。その場合、税引前当期純利益をxとすると、法人税として支払われるのが1/2x、繰越利益剰余金に加算されるのが1/2xとなります。よって、貸借対照表の「未払法人税等」と「繰越利益剰余金」は次のように計算されます。

 法人税等(1/2x)-仮払法人税等=未払法人税等
   未払法人税等=1/2x-仮払法人税等・・・①

 繰越利益剰余金(期首)+当期純利益(税引後)=繰越利益剰余金(期末)
   繰越利益剰余金(期末)=繰越利益剰余金(期首)+1/2x・・・②

 これらをもとに貸借対照表の貸借差額を利用して逆算します。

 負債の部合計+純資産の部合計=資産合計

 「未払法人税等」+「未払法人税等」以外の負債の金額
+資本金などの純資産の部の項目+繰越利益剰余金(期末)=純資産の部合計

 「未払法人税等」と「繰越利益剰余金(期末)」以外の数字が正しく求められていれば、①・②を上記に代入することでxが分かります。
 ただし、貸借対照表の「未払法人税等」「繰越利益剰余金」以外の数値が間違っていると、「未払法人税等」や「繰越利益剰余金」を正しく求めることはできません。ですから、時間がかかってもできればP/Lを作成して法人税等や当期純利益を求めたほうがいいですね。