簿記講座の講師ブログ

よくあるご質問 -未払金・未払費用・買掛金の違い-

 皆さん、こんにちは!
簿記講座担当の小野です。
私はまだ休み気分が抜けませんが、皆さんはもう通常モードに戻りましたか?

 今回は、勘定科目に関するご質問で、比較的多いものを取り上げたいと思います。
その筆頭は「未払金」と「未払費用」の違いは何かというご質問です。
すでに一度取り上げたご質問ですが、今一度、確認したいと思います。
 
「未払金」と「未払費用」は、まだ支払っていないという点では共通しますが、取引が継続しているかどうかという点で異なる勘定です。

 「未払金」は、「すでに“取引が終了”してあとは支払いだけが残っている場合に使う勘定」とイメージしてください。
例えば、備品や株式を購入して、代金をまだ支払っていない場合です。購入という取引は終わりましたが、支払いは終わっていません。このような場合の未払いの金額を「未払金」とします。

 「未払費用」は「“取引が継続”している状態で、まだ支払いをしていない場合に使う勘定とイメージしてください。
例えば、7月1日に、利率年6%(利息は1年後:来年の6月30日払い)で100万円のお金を借りたとします。そして、12月31日に決算日がきたとします。
12月31日の時点で、お金を借りるというサービスを受け続けています(=取引が継続しています)。しかし、そのサービスに対する費用(利息)の支払いは行っていません。
本来、利息は時間の経過とともに(厳密に言えば1秒ごとに)支払うべきですから、12月31日の時点で今年支払うべき利息を計算しなければなりません。
 
 また、「商品を仕入れ、代金は月末に支払うこととした」という取引の仕訳で「未払金」を使わずに「買掛金」を使うのはなぜか、というご質問もお受けします。
「月末払いだから未払金ではないのか?」という趣旨のご質問です。
 
確かに、多くの問題で、商品の仕入代金を後払いにするときには「代金は掛けとした」と表現され、有価証券などを購入して代金を後払いにするときには「月末に支払うこととした」と表現されることが多いようです。
しかし、問題文の表現で勘定科目を使い分けているわけではありません。

商品の仕入という本業で生じた後払い項目を「買掛金」、本業以外の取引で生じた後払い項目を「未払金」と呼んでいるのであり、取引の性質によって使い分けているのです。

決して、問題文の表現で区別しないようにして下さい。
簿記が使われる現場では、取引が問題文で示されることはありませんから!