簿記講座の講師ブログ

よくあるご質問 -収益の繰延-

 皆さん、こんにちは。
簿記講座担当の小野です。
別れと出会いの季節。悲しかったり、楽しかったり。

 3級講座において、収益・費用の見越・繰延についてご質問をよくお受けします。以前も取り上げましたが、改めて「受取手数料」(収益)を題材に繰延の処理を取り上げましょう。

 会計期間を4/1~3/31とします。
当期の10月1日に¥64,000の手数料を現金で受け取りました。このうち、¥5,000が前受分(翌期の9月30日までの分)だとします。
この点について図で表すと、次の通りです。

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当期の10月1日に¥64,000を受け取り、次のような仕訳をしているはずです。

  10/1(借)現   金 64,000  (貸)受取手数料 64,000

 ただし、このうち¥5,000は前受分=次期分です。
当期(4/1~3/31)の利益を計算しなければなりませんので、¥64,000とされている「受取手数料」から次期分の¥5,000を差し引かなければなりません。決算日にはこの調整を行います。「受取手数料」という収益を¥5,000減じるわけですから借方記入ですね。
 また、さきほど借方に「現金」を記録する仕訳をしたことからも分かるとおり、この¥5,000はすでにもらっています。次期にもらえればいいものを、当期にもらっているのですから「前受」です。貸方に「前受手数料」を記録します。

  3/31 (借)受取手数料 5,000  (貸)前受手数料 5,000

 このとおり、当期の利益を計算するために当期分だけの収益・費用を集計するための決算整理が見越・繰延です。次回は見越について再度確認します。