簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

 皆さん、こんにちは。

 6月に入り、貸金業界では大変なことが実施されることとなりました。

 多重債務者問題およびそれに関連する様々なトラブルを解決するため、総量規制が実施されたのです。今後、消費者金融の会社から、年収の1/3を超える借り入れを行うことができなくなってしまいました。比較的多額の借り入れを行っている人は年収証明書を提出する必要が出てきました。また、主婦は収入がないのですから、借り入れを行うために夫の年収証明が必要となりました。特にクレジットカードによるキャッシングを多用していた人にとっては、ちょっと面倒なことになったわけです。

 恐るべきはその人数です。現在、消費者金融の会社からお金を借りている人は全国で1,170万人いるそうです。なんと、国民の10人に1人は消費者金融からお金を借りていることになります。そのうち半数の600万人がこの規制に引っかかってしまい、新たな借り入れができなくなるそうです。

 規制で影響を受ける人は3つのグループに分かれます。
  ①単なる消費を楽しむために借り入れを多用していた人。
  ②収入が少なく、生活のために一時的な借り入れをせざるを得なかった人。
  ③銀行や事業者ローンを借りることができず、消費者金融で借りたお金を事業に使っている事業者

 ①のグループに入る人に対しては、「消費を我慢してください」で済ませることができるでしょう。景気浮揚のためには消費をしてもらう必要はあるでしょうが、借金してまで消費をすることの是非はまた別の話です。

 ②のグループに入る人に対しては、雇用対策などを通じて、国全体で、きちんとした生活をできるように対策をとる必要があります。もちろん、本人の努力をも必要としますが、大卒の就職率が5~6割程度しかない社会は健全ではありません(一応、報道では昨春新卒者の内定率は90%とされていますが、内定率であって就職率ではありません。卒業者に対する就職者の割合を示す就職率は全国で5~6割と言われています)。

 ③のグループに入る人に対しては、早急な対策が必要です。本来、リスクをとって事業を行う人々に対して資金を融通するのは銀行など金融機関の役割です。しかし、それがなされていない結果、小規模事業者が事業資金を消費者金融から借りるという状態になっています。極端な例では、資金繰りが苦しくなった中小企業の社長が従業員に給料を支払うために、「むじんくん」でお金を借りてくるのです。つまり、経済活動における血液であるお金が銀行という心臓から出されていないわけです。評論家の中には銀行が果たすべき役割を果たしていないという批判をする人もいます。このままでは大変なことになってしまいます。



小野正芳

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