簿記講座の講師ブログ

現実逃避的にFIREに憧れる件

皆さん、こんにちは!

 簿記講座担当の小野です。

 だんだん、春っぽくなってきました。眠くならないように!

 今、FIRE(ファイア)が話題になっています。FIREとはFinancial Independence, Retire Earlyの略で、直訳すると「経済的自立と早期リタイア」です。アメリカのミレニアル世代でムーブメントが始まり、世界に広がりつつあります。

 これ、何だかお金持ちの世界の話で、「遊んで暮らす」みたいなイメージですが、その中身はちょっと違っていて、庶民が実現可能な話らしいのです。「遊んで暮らす」話ではなく、「経済的に自立する」という点がポイントであり、要は、贅沢はしないけど、好きなことだけやって生きていける環境を作ろうというのが、発想の原点なんです。

 このムーブメントはミレニアル世代から始まりましたが、ミレニアル世代とは、2000年前後に20歳を迎えた人たちのことで、現在の40歳前後の人たちのことを指します。アメリカの場合は厳しい競争社会とは無縁の社会でのんびり生きたいという人が、日本の場合は70歳まで働きたくない・年金問題を心配せずに生きたいという人が先導役になっているようです。

 FIREのポイントをまとめると3つでしょうか。

 1つ目は、贅沢をしない(自分にとっての普通レベルの)生活をすること。そして、それにいくら必要か知ること。

 2つ目は、普通レベルの生活費の20倍の資産を確保すること(年間500万円必要なら、その20倍で1億円)。

 3つ目は、資産を確保したあとは、やりたいことだけやってちょこちょこ稼いで、ストレスフリーな安定した生活を送るということです。

 でも、やっぱりお金のことが気になります。リタイアするのは簡単だけど、生活できないのは困るわけですから。だから、お金に縛られない生き方をするためにはお金のことをしっかり考えて、生活費の20倍の資金を用意するというのがポイントになる。

 この20倍という数字ですが、基本的なポートフォリオから、およそ5%の利益を得られることから導き出された数字です。ポートフォリオとは資産のパッケージでのことです。貯蓄を預金だけで持っておくのではなく、株式、債券、不動産に分けて持っておくことです。これらの資産に1/3ずつに分けるのが基本パターンで、おかれている環境に応じて最も望ましい分け方を選択します。

 年間の生活費が500万円(月40万円くらい)だとすると、その20倍の1億円の資産をもてばいいことになります。1億円の資産から、毎年5%の収益があるので、500万円の生活費を確保できることになりますから。

 基本的な生活費が確保できれば、働くのは週3日、あとはボランティア活動とか、自給自足を目指して農業に没頭するとか、やりたいことだけやって生きることが可能になりますね。もちろん、週7日働くけど、嫌いな仕事はせずに好きな仕事だけをえり好みすることも可能になります。

 ただ、1億円の財産を作るのは簡単じゃありませんよね。でも、そんなに縁遠い話でもないんです。

 例えば、平均して毎月5万円(年間60万円)ずつ、すべて株式に投資すれば、およそ28年で4,500万円くらいの資産になります(もちろん、上がったり下がったりしますが)。22歳で大学卒業して、28年後の50歳の時には4,500万円の資産を持つことになる計算ですね。日本人の平均年収が450万円くらいといわれる中、平均で年間60万の貯蓄をすることが難しいと考えるどうか?

 このようにガッツリ貯金しなくてもいいのは意外なんですが、それでも1億円には届きません。だったらどうする? 家族でやればいいのではないでしょうか? 例えば、奥さんとやるとか。2人でやれば約1億円になります。

 2人で1億円を確保すれば、その後はお互いがそれぞれやりたいことで少しだけ稼げば、例えば100万円ずつ稼げば、2人で200万円。そこに財産からの生活費が500万円入れば、合計700万円。普通の暮らしは余裕! ということはストレスのない仕事を続けるという前提ならば、2人で6,000~7,000万円もあれば十分でしょう!

 こういった話が出てくるのはまさに時代を反映していると思います。現代は、草食系とかミニマリストという言葉もあるくらい現代の40代は物的な要求が少ない世代といわれています。だからこそ、こういった生き方も注目されるのでしょう。 FIREを目指すには自分が置かれている経済的環境と自分が目指す経済的環境を真剣に考えることになります。だから、実現するかどうかは別として、目指すだけでも人生変わるかもしれませんね。遅まきながら、私も目指してみようかな。