簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

 皆さん、こんにちは。

私の担当は簿記の講座ですから、たまにはこのブログでも簿記・会計の話をしたいと思います。

皆さんも「IFRS」という言葉をお聞きになったことがあるかと思います。International Financial Reporting Standardsの略で、「国際財務報告基準」と訳し、「国際会計基準」などともいわれています。

簿記・会計は企業の利益・財産計算に関する法ですから、主権国家がそれぞれ独自のルールを作って運用していました。日本は企業会計審議会という大蔵省(現金融庁)内にある組織が作ったルールを使っていたわけです。

各企業は自分の会社の利益・財産について株主に報告しなければなりません。ところが日本企業の株主は日本人であるとは限らず、イギリス人もいるわけです。

さぁ、ここで困ったことが生じますね。

私たち日本人は日本の法律に基づく利益・財産計算方法を勉強してきました。もちろん、イギリス人はイギリスの法律に基づく利益・財産計算方法を勉強しています。そして、ある会社(A社としましょう)の株式を購入したら、勉強した知識にもとづいてA社の利益や財産の評価を行うわけです。

ここで、A社が日本企業であるとしましょう。A社は日本法律に基づいて利益・財産計算を行います。その結果をイギリス人が見るとどうなるでしょう。イギリスでは、従業員が消化していない有給休暇を、企業の負債として貸借対照表に計上しなければなりません。この背景として、有給休暇が従業員の権利であり、従業員が有給休暇を消化しなかったら、企業が買い取らなければならないからです。つまり、企業は従業員に休暇かお金を与えなければならないのです。しかし、日本にそのような文化はありません。ですから、日本企業の貸借対照表に「未消化有給休暇」なる負債はないわけです。A社の貸借対照表に「未消化有給休暇」がない場合、(一般に、すべての従業員がすべての有給休暇を消化できるはずはないので)、イギリス人は「A社は従業員に有給休暇を与えていないひどい会社だ」と判断してしまいます。

つまり、ローカルなルールに基づく利益・財産計算はグローバル市場では誤解生じさせる原因となってしまうわけです。そこで、2013年をめどに、全世界の会計ルールを統一化させようという作業が始められました。といっても、実は、日本とアメリカだけが仲間はずれの状態です。

日本とアメリカ以外の国のほとんどはIFRSをすでに導入済みです。したがって、今後の流れは、日本とアメリカがどれだけIFRSに歩み寄れるかということになります。



小野正芳

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