簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

 皆さん、こんにちは。

 今回は、また、最近改正されている会計基準についてお話ししたいと思います。

 最近の会計基準はほとんど1級の範囲で2級・3級には関係ありません。資格試験には関係ないのですが、経済に大きな影響を与えそうな改正が控えています。

 例えば、企業年金を運営している企業は、積立不足を即時穴埋めしなければなりません。できなければ積立不足を負債として企業の貸借対照表に計上しなければなりません。

 企業年金は、企業が年金の支払い原資を使い込まないように、別の組織(年金基金)を使って運営されています。企業が年金基金に年金給付に必要なお金を渡し、年金基金がそのお金を運用し、年金基金が退職者に給付しているわけです。

 年金基金が特に運用に失敗しなかったとしても、現在のような市場全体の下落に遭遇すれば否応もなく年金基金が所有する資産が減少するわけです。しかし、株価が下がったからといって支払う年金額が減少するわけではありません。したがって、年金基金の中で、資産は減るけど要給付額(負債)は減らないという状況になるわけです。この状態を積立不足の状態といいます。

 もちろん、この積立不足を穴埋めするためには、年金基金が運用で巻き返すか、企業が追加で年金基金にお金を渡すかのどちらかです。現在の国際会計基準では、後者と見なして処理させます。つまり、年金基金に積立不足が生じたら、母体企業が追加拠出をしなければならないとみなします。その時点で即時に追加拠出をすれば、企業では

(借)退職給付費用  ××  (貸)現     金  ××

という仕訳をすることになり、すぐに追加拠出をできなければ、

(借)退職給付費用  ××  (貸)退職給付引当金  ××

という仕訳をすることになるのです。つまり、年ごとの金融市場のちょっとした時価変動が、年金基金の資産の変動をもたらし、それが積立不足として母体企業の負債として表示されるのです。もちろん、借方には退職給付費用という費用が計上されていますから、この分だけ利益が減少します。

 企業の利益が減少し、負債が増加すれば、その企業に対してあまりいい印象を持つ人はいませんよね。つまり、株式市場でその企業の株価が下がり、その企業の株を所有している別の年金基金の資産が減少し・・・、なんていやなスパイラルが始まらなければいいのですが・・・。



小野正芳

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