簿記講座の講師ブログ

テレワークと税金

 皆さん、こんにちは。 

 簿記講座担当の小野です。

 皆さん、夏休みはいかがお過ごしですか? 

いろんな制限があると思いますが、少しでもリフレッシュしながらがんばりましょう!

 コロナ禍は、社会に様々な変化をもたらしましたが、その最たるものがテレワーク(在宅勤務)でしょう。

テレワークというと、「千葉在住の小野さんが東京の職場に通勤せずに、千葉の自宅で仕事をする」というレベルで考えてしまいがちですが、「日本人がアメリカの会社の仕事を日本の自宅で行う」ことも可能です。

 単にテレワークといっても、後者の場合には、税金の問題が出てきてしまう点に注意しなければなりません。

 税金には属地主義と属人主義という考え方があります。属地主義とは「住んでいる場所で納税すること」、属人主義とは「国籍のある国に納税すること」です。

現在、多くの国が属地主義をとっています。日本企業に勤める日本人Aさんが、マレーシアの子会社に出向し、マレーシアで働いている場合、Aさんはマレーシアに税金を納めます。

しかし、Aさんがマレーシアの子会社に所属したまま日本に戻ってきて日本の自宅に住み、テレワークでマレーシア子会社の仕事を継続するとしたら、Aさんはどこに税金を納めるでしょうか? 属地主義ですから、原則として、日本で税金を納めることになります。

 ただ、もうおわかりかと思いますが、この事象は、マレーシア政府が受けることができる税金を日本政府が受け取ることでもあります。Aさんはマレーシアの会社の仕事をして、マレーシアで商品やサービスを生み出し、その給料をマレーシアの会社が払っているのですが、Aさんは日本に税金を納めるのです。

 投資の世界ではすでに同じことが生じています。日本に住んでいるBさんが、アメリカ企業の株をニューヨーク証券取引所で売買して儲けたら、Bさんは日本とアメリカのどちらに税金を払うでしょう? 多くの国々は租税条約を結んで、投資家が住んでいる国で納税することにしています。ある種、痛み分けをしているわけです。

 テレワークの浸透で、労働の対価である給料についても同じような決まりが必要な時代が来るのかもしれませんね。