簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

 皆さん、こんにちは。
 
 格下げの要因の2つめとして財政再建のめどが立たないということがあげられていました。むしろ、こちらの方が非常に問題であると思います。

 財政を立て直すためには毎年の収支をプラスにして少しずつ借金を返済していくことが必要です。そこでプライマリーバランスをプラスにしようという目標が立てられました(もう忘れ去られていますが・・・)。プライマリーバランスとは、要するに年ごとの収支であり、プライマリーバランスをプラスにするとは毎年の収支をプラスにするという意味です。カタカナで書くと非常に難しい(たいへんな)ことをやらなければならないような印象を受けますが、家計であろうと、企業であろうとやらなければならない基本的なことです。消費者金融のCMで、「収入とのバランスを見て借りすぎには注意しましょう」と流れていますね。

 ところが2011年度の予算案を見ると40兆円くらい支出が収入を上回っています。一般会計と特別会計をあわせた日本全体の予算では、支出が約220兆円だそうです。支出が多すぎるわけですから、支出のうちどこかを削らなければいけません。削らないにしても何なりかの対策をうたなければなりません。ちなみに220兆円の支出を見てみると次の通りです。

 社会保障給付:34%  国債の利払い・返済:37%  地方交付税:7%
 文教科学振興:3%  防衛費:2%  公共事業:3%  その他:14%
 
 もう何をすべきか一目瞭然ですね。社会保障に手をつけなければなりません。「無駄な工事をするな!」と叫んで、無駄な工事をやめさせても焼け石に水なのです(もちろん、無駄遣いするよりマシですが・・・)。しかもこの社会保障費は少子高齢化の進展とともに毎年数兆円ずつ増えています(ちなみに2008年よりも8兆円も増えました)。

 つまり社会保障を10%削れば、無駄遣いの象徴といわれる公共事業をすべてやめるのと同じ効果をもつわけです。

 この数字を知っている人は“事業仕分け”がいかにむなしい作業であるかがわかるでしょう。“事業仕分け”でちょっとの資金が浮いたとしてもすぐに社会保障費に吸い取られてしまうんです。

 ところが“社会保障”といういかにも弱者救済的な名称がついているこの制度に切り込む政治家はいないようです。はやくそんな政治家が出てきてくれないかな。



小野正芳

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