簿記講座の講師ブログ

個人のポートフォリオ②

 皆さん、こんにちは。

 夏休み中は、業者さんもお休みだったのでしょうか。営業の電話はほとんどありませんが、前回からの続きを引き続き書きたいと思います。

 業者による提案の共通点の1つ目の提案は、“イマドキ”はアセットアロケーションを重視する時代になっていて、個人でもそれが可能な時代になっているのに、全くそんなことを取り上げないということでした。2つ目は、「比べてください、この利回り!」は比べられないということです。

 業者からの電話営業に限らず、新聞広告での不動産情報でも利回りはデッカイ字で書いてあります。低くても6%くらい、高ければ10%を超えるものもゴロゴロあります。「利回り10%です」といわれるとあなたはどう思いますか? 「それは高いねぇ。ちょっとやってみるか」となりますか? それとも「このご時世、そんなおいしい話はないはずだから、やめておこう」となりますか? それとも他の意見ですか?

 私は「その10%の利回りの計算方法を調べてみよう」と思います。新聞広告であると、下の欄外に小さな字で利回りの計算方法が書いてあります。

 利回り=年間家賃収入÷物件購入価格

 「これじゃ、銀行預金金利と比べられるわけないだろ?」となるわけです。

 月間10万円の家賃を設定できるワンルームマンションが1,200万円で販売されていたとしましょう。年間の家賃は120万円ですから、利回りは10%です。じゃ、10年たてば元が取れるじゃないか、と考えるのは早計です。だって、10年後にそのマンションが1,200万円で売却できると思いますか? 10年後には半額、どんなに条件がいいところに建っているマンションでも1,000万円くらいでしか売れないでしょう。預金は10年後も預けたお金がそのまま返ってきますよね。だから、預金金利と不動産の利回りは直接比べられません。10年後の売却価格が購入価格の半額になったとしましょう。

10年間の総収入=家賃+売却代金=10万円×12ヶ月×10年+600万円=1,800万円
 10年分の総利回り=1,800万円÷1,200万円-1=50%
1年分の総利回り(単純計算)=50%÷10年=5%

 もし、途中で入居者がいなくなってしまったら? フリーレントを行ったら? 居住設備が壊れて修理したら? などなどいろいろなことがあり、利回りはもっと下がりそうです。それでも利回り重視の営業・宣伝が行われるのは、なぜでしょう?