簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

 皆さん、こんにちは。

 100年安心という大々的な触れ込みで改正された年金制度は10年もたたないうちにボロボロのモノになってしまいました。改正された時点でも賃金上昇率・予定運用利率などがちょっと無理な感じに設定され、それは楽観的すぎるだろうという批判が新聞等でなされていました。

 賃金上昇率は年間2.5%~3.4%上昇し(つまり、年金制度に払い込まれる保険料がこのペースで増加し)、年間4.1%で運用できる(このペースで年金資産が増加する)という前提で計算されていたわけです。仮に賃金が下落した場合は、マクロ経済スライドを使って年金給付を減らすから大丈夫です、ということでした。

 しかし、実際は賃金は上昇どころか大幅に下落してしまいました。10年前に比べて、所得の中央値は200万円下がっています。1997年に最も多かったのは年収500~600万円の層でしたが、2010年のデータでは最も多かったのは年収300~400万円の層です。このデータが正しいとすると現役世代の賃金は30~40%下がっているということになります。

 一方で、マクロ経済スライドは高齢者の反発を恐れて発動されていません。年金生活をしている方が、「私たちの生活は苦しい。年金受給額は一定で増えないからね。」というのはおきまりですが、現役世代から見ると「年金は減らないからいいね。」ということになっています。

 一方、国内の株価は下がりまくっていますし、円高ですから海外資産の価値も下がっています。よって、予定利率4.1%は現在のところ幻です。

 ということはどういうことか? 現役世代の賃金は下がっているので、年金制度に払い込まれる保険料は減っている。その上、運用利率はマイナスだから、年金の資産が増えるどころか減っている。しかし、年金給付は予定どおり減らされることはなく、以前の額が支払われている。

 その結果、100年安心プランが10年でいきづまり、また最近年金制度の議論が始まったわけです。その審議会の様子がほんのちょっとだけニュースで報道されていましたが、委員の方はほとんどが高齢者。あぁ、もうダメだ。年金の問題は世代間でバランスをとるべき典型的な問題なのに、現時点で年金給付を受ける側に属する人しかいなさそうです。これでは、裁判官・弁護士がともに検察所属の人間しかいない法廷で裁判を受けるようなものですね。我々若者~ミドルはその委員を人たちを選挙で選ぶことすらできません。

 あぁ、また搾り取られるのか。



小野正芳

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