簿記講座の講師ブログ

またまた所得移転され、私はまたまた反省

 皆さん、こんにちは。

 「あ~、ここも蝕まれていたか。」そう思わざるを得ない事件が起こりました。そう、AIJ事件です。どこまで事実か意図的かは分かりませんが、現在の報道を見ている限り、次のような構図でことが起こったようです。

① 野村證券出身のAIJの社長さんが、社保庁OBの年金コンサルタントと知り合いになる。
② その年金コンサルタントは、社保庁時代の後輩が役員をしている年金基金にAIJの商品を売り込む。
③ AIJは、表面上、高収益を挙げているファンドだったので、基金の財政状態の悪さに苦しんでいる年金基金は飛びついた。

 ということは、普通に考えて、AIJから年金コンサルタントに多額の報酬が支払われていたのでしょうね。また、年金コンサルタントは後輩の基金役員にいくらか渡して、基金の金でAIJのファンドを買わせていたことでしょう。

 したがって、年金基金に加入して保険料を納めている人(基金に参加している企業の従業員)から社保庁OBへの所得移転が起こったわけです。また、いつもと同じパターンですね。

 私(あるいは私と同年代)が社会に関心を持ち始めたであろう10代後半は「ノーパンしゃぶしゃぶ」の時代でした。護送船団方式で大蔵省が銀行を指導していた時代、銀行は大蔵省の職員を過剰接待していました。もちろん、銀行の経費としてその接待費が支出されるわけです。銀行の経費が増えれば預金者に支払われる利息を減らさざるを得ないでしょう。つまり、ここでも預金者から大蔵省職員への所得移転が起こっていたわけですね。

 「おっ、いつもと同じパターンだな」と思ってしまいました。手段(道具)を変えているだけで、やっていることは国民から公務員(OB)への所得移転です。しかも、合法的に。法律を破ったのはAIJだけ(運用成績の改ざん)です。社保庁OBは倫理的には批判されることはあっても、法律を犯さないようにうまいことやっているでしょう。もう、鮮やかとしかいいようがありません。

 しかもほぼ合法でしょうから、AIJの社長以外から賠償をしてもらうことは難しいかもしれませんね。こんなことを起こさないまじめな公務員を育成してくれるような政治家を我々が選ばなければな、と思い、反省した事件でした。