簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

 皆さん、こんにちは。

 今、インドネシアでは住宅や自動車を購入する際に最低30%の頭金が必要なのだそうです。借金による消費であれ、多くの人が多くの消費を行えば景気がよくなります。景気がよくなればいろいろなモノ・サービスの価格が上がります。つまり、インフレが起こります。ですから借金による消費が増えすぎるとインフレが起こり困ってしまうことになるわけです。

 また、簡単に借金できるようになると、軽い気持ちで借り入れをする人が増えて、その結果、借金を返済できない人(返済するつもりがない人?)が増えてしまいます。

 つまり、インドネシア政府は、インフレが起きて困りますし、返済不能者が増加(貸し手からみれば不良債権の増加)しても困るので、借金による購入時に30%以上の頭金を求めることにしたのだそうです。もちろん、消費による景気拡大というメリットと上記のデメリットを比較して、デメリットが大きい場合に頭金の最低額を強制すべきということになるでしょうが、その条件は満たされているのでしょうか?

 住宅購入の際に30%の頭金を求めるということは結構厳しいですね。日本でいうと3,000万円のマンションを購入するのに900万円を頭金として準備しなければならないということです。でも、住宅を購入すると様々な付随費用がかかりますし、「頭金を払ったら貯金がゼロになった」というのもまずいですから、実質的には1,200~1,300万円くらいの貯蓄が必要になってくるでしょう。3,000万円のマンションは庶民的な価格ですが、その庶民が1,200~1,300万円の貯蓄を持っているかというとなかなか厳しそうです。日本人の平均貯蓄額の中央値が600万円と言われていますので、マイホームを持たない若い層の貯蓄は夫婦2人分でも1,000万円に届かない可能性が高いですね。

 住宅は幅広い消費を誘発するといわれています。例えば、新築の家にすると家電も新調したくなりますし、カーテンや家具なども新調したくなります。景気拡大にかなりの貢献をするといわれており、そのため、住宅ローン減税のような政策が採用されるのですね。

 消費が過熱しすぎればインフレが発生しますが、現在のインドネシアのインフレ率は5~6%であり、過去と比べても低水準で推移しており、欧州危機に起因する景気の悪化(インフレの沈静化)が問題になっているくらいですね。

 また、支払不能になる原因が本人の金遣いの荒さにあるのであれば、それは教育の問題ですよね。たくさん頭金を入れたからといって支払不能にならずにすむかというと、全く関係ないはずです。本人のお金に関する意識を変えさせない限り、支払不能になる人を減らすことはできないでしょう。

 職場の倒産や病気・ケガなどによる就業不能で返済ができないということであれば、頭金の大小は関係ないでしょう。職場の倒産は本人がコントロール可能なことではありませんし、ましてや頭金の多寡とは何の関係もないでしょう。また、支払不能になるような(仕事を辞めなければならないくらいの)病気やケガはほとんど運です。つまり、頭金の多寡は関係ないわけです。

 というように、頭金が多く必要になってしまうといろいろ不都合が生じそうです。お金の貸し借りくらい、当人同士の自由に任せておけばいいと思うのですが・・・。



小野正芳

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