簿記講座の講師ブログ

消費増税は役に立つ?

 皆さん、こんにちは。

 さて、このブログ執筆時点で、消費税増税法案が成立し、消費税増税に向けていろんなことが進み始めることとなりました。

 消費税の特徴は広く薄く課税できるということです。税負担者による脱税が難しい税金であることもその特徴でしょう。

 消費税は買い物をするたびに徴収されます。全く買い物をせずに生きていける人はいないので、国民全員に課税されるという意味で、公平性の高い税金であるといわれます。高齢者も必ず負担する必要があるため、社会保障の世代間の不公平を緩和するために役立つともいわれています。

 そして、消費活動を偽ることはできません。10,000円の商品を購入したら、絶対に500円の消費税を徴収されます。買い物をするときに消費税を脱税することができないのです。つまり、消費税を負担する人が消費額を偽って不当に負担すべき消費税額を減額するという意味での脱税は不可能です。ですから、お金持ち(収入が多くても、資産が多くても)がお金持ちレベルの消費を行えば、必然的に税収が増えるわけですね。

 ただ、脱税を全くなくすことができるかといえばそれは不可能で、小売店がお客さんから預かった消費税を納税しないということもあり得ます。有名どころでは、売上1,000万円以下の事業者は納税義務がないので、意図的に売上を1,000万円以下に抑えることによって預かった消費税をそのまま合法的に小売店店主のポケットに入れることが可能です。

 このように、消費税は広く薄く課税でき、公平な税としてアピールされています。ただ、逆進性というデメリットがあります。人間は消費をしなければ生きていけませんが、収入に占める消費の割合は収入が低い人ほど高くなります。月給20万円の人の生活費が15万だとしましょう。このときの消費税は7,500円ですね。一方、月給100万円の人の生活費が40万円だとしましょう。月給が5倍になったとしても生活費が5倍になることはあり得ないでしょう。とすれば、40万円の消費額に対する消費税は20,000円です。

 20万円の収入に対して消費税7,500円ですから、収入に占める消費税は3.75%、100万円の収入に対して消費税20,000円ですから、収入に占める消費税は2%となり、所得が低いほど消費税の負担が大きくなります。これが逆進性といわれる問題です。

 この問題に対応するため、低所得者へは何らかの給付を行うそうです。増税時に一律10,000円を配るとか、いろいろな案があるようです。でも、そもそも逆進性は問題なのでしょうか? 収入を低所得者の基準として使う場合、低所得者のほとんどは年金で生活している高齢者となってしまいます。つまり、高齢者は消費税増税の影響をあまり受けないことになってしまいます。消費税導入の理由の1つである社会保障の世代間負担の不公平性が解消できなくなってしまいそうです。