簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

 皆さん、こんにちは。

 上げるといってなかなか一気に進まないのが消費税ですね。

 2段階で上げることが決まったといいながらも、まだまだ反対意見が出てきてやり直し的な展開が待っているかもしれません。

 そもそも、消費税率を上げなければならないのはなぜでしょう? 「そんなこと、高齢者に年金を支払うために消費税収を増やしたいからだろうが!」とおしかりを受けそうです。でも、算数の式を考えてみると、消費税収を増やすためには、税率アップ以外にも方法がありそうです。

 消費税収=消費額×税率

 税率アップが唯一の方法ではないことが分かりますね。では、消費税収を増やすために世の中の消費額を増加させようという議論がどれくらいなされたのでしょう? 

 現在、約475兆円のうち、家計消費が約280兆円、政府支出が約95兆円、固定資産形成支出が約95兆円、純輸出(輸出-輸入)が5兆円です。一方、消費税収は約10兆円です。家計消費が消費税のもととなっているはずです。家計消費には消費税がかからない消費(帰属家賃など)があったり、悪名高き益税などの問題もありますから、GDPの家計消費と消費税収はほぼ比例関係にあるとみてよさそうです。ということは、消費税収を増やす手段として家計消費をアップさせるという手段もとれそうです。

 最もてっとりばやいのは、国内で販売されているすべての商品をいっせいに値上げすることです。ただし、企業の増益分をすべて従業員への給料アップの原資にするという条件で。

 企業によって提供されている商品がいっせいに値上げになると、企業の費用がいっせいに増加することになります。企業の交通費(電車代)という経費は、JRの商品売上代金です。つまり、JRが商品代金を値上げすればそれを使う企業の経費(交通費)も増えます。

 ただし、儲かっていることを前提にすれば、売上増加額>費用増加額です。例えば、売上が100、経費(人件費を除く)が50、人件費が30、したがって利益が20という企業を考えてみましょう。ここで、日本のすべての企業が販売価格を20%値上げすることになったとしましょう。

 売上と経費は20%増加します。よって、
売上 100→120
経費  50→ 60
となります。人件費を変えなければ(20のまま)、利益が40ですね。

ここで先ほどの条件の登場です。増益分の20をすべて給料アップの原資とします。すると、売上120、経費60、人件費40、利益20です。

 なんと給料は倍になります。一人一人の生活で考えれば、商品価格は20%上がったけれども、給料が2倍になっているので、生活に困ることはありません。むしろ、生活が楽になり、もっとたくさんの消費をするでしょう。これは20%のインフレを意味しますが、給料が倍になっているので市民生活には影響を与えないでしょう。

 もちろん割を食う人もいます。株主です。売上などの経済規模が大きくなったのに、利益は増えていませんから配当も増えないでしょう。でも、これも一時的です。なぜなら、個人が、いっせい値上げするまでよりも6割くらい高い購買力を持ったからです。給料は2倍に増えましたが商品価格が20%上昇しているので、実質的には6割増くらいの消費が限界です。ただ、それにより家計消費は活発になり、企業に多くの利益をもたらすでしょう。そうなれば、翌年度以降企業の利益も増えるはずです。

 他にもいろいろな影響が考えられるでしょうが、財政出動も伴わず、企業の行動だけでできるこの値上げを「いっせいのせ」でしてみませんか?



小野正芳

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