簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

 皆さん、こんにちは。

 我々は自由社会に生きています。他人から暴力的に何かを奪わない限り何をするのも自由です。しかし、社会が複雑になると、ちょっとした勘違いが大きな不幸を生み出します。

 さて、今回は資産運用の話です。皆さん、資産運用されていますか? 「俺には資産運用なんてする余裕資金はないよ」と思った方がいるかもしれませんが、銀行に預金することも立派な資産運用です。なぜなら、私たちが預けたお金は、銀行経由で誰かに貸し出されているのですから。自分で直接貸し出す(債券の購入)か、銀行経由で貸し出す(預金)かに、本質的な違いはありません。本質的な違いがないのに、片や1%の利息がもらえて、片や0.02%の利息しかもらえないのはなぜでしょう?

 銀行に預金してもほとんど利息が付きませんし、「銀行がぼったくっているんじゃないの?」と思っている方もいるんじゃないですか? でも結論から言うと、預金に付く利息が少ないのは、預金者がサボっているからです。銀行が悪いのではなく、預金者が悪いんですね。

 銀行に預金したときのことを考えてみましょう。銀行は預金者から年利0.02%でお金を借りて、住宅ローンを借りたい人や事業資金を調達したい企業に年利1%くらいで貸します。つまり、預金者からみて、銀行の取り分(手数料)は0.98%です。

 銀行はお金を預かると、借りたい人を探さなければなりません。借りたい人を探すためには、日頃から企業回りをして資金需要をつかんでおく必要があるでしょう。そのためには行員さんの人件費がかかりますね。また、住宅ローンとして貸し出すこともあるでしょうが、多くの住宅購入者に借りてもらうためには広告宣伝をしなければなりません。つまり、借りたい人を探し、貸し付けて、利息をもらうためには手間と金がかかるということです。

 また、銀行は、確実に預金者に元本を返済し、利息を支払わなければなりません。ですから、銀行は企業に貸したお金が返ってくるようにお金を借りた企業・人を指導しなければなりません。要するにコンサルティングですね。そのためにまた行員さんの人件費・教育費がかかります。住宅ローン担当の行員さんはFPの資格をお持ちの方が多いようです。資格を取るためには勉強しなければなりませんし、そのために銀行は行員さんを支援しなければならないでしょう。

 このように、お金を貸して利息をもらう(儲ける)ためには様々な手間・金がかかるわけですね。つまり、預金者の立場で見ると、銀行預金は最も安全な資産運用手段というよりも、=預金者にとって全く手間のかからない=預金者にとって金融の勉強が不要な=怠惰な人でも誰でもできる資産運用手段なんです。

 もちろん、現代は金融が発達していますから企業に直接お金を貸し付けることもできます。社債を購入すればいいわけです。社債というのは借用証書ですから、「社債購入=お金の貸付」なんですね。国債購入=国へのお金の貸付といえば、ピンとくるでしょうか?

 ただし、この場合、お金を貸した相手企業が倒産すればお金は1円も戻ってきません。お金を貸すにあたっては細心の注意を払わなければならないことはいうまでもありません。その見返りに企業が支払う利息を丸々受け取ることができます。いろいろと面倒で勉強・調査することが必要だけど、実入りは大きいわけです。

 以上より、銀行預金を考える場合、「銀行がしこたま稼ぐために預金者への利息の支払いが少なくなっている」のではなく、「預金者がサボっている=預金者が銀行に貸出業務を委託しているので、その分手数料が差し引かれている」と考えなければなりません。

 こう考えると、銀行はぼったくりでも何でもなく、国民が要求しているサービスを提供しているだけにすぎません。利息が安いと文句を言うのは、銀行の調査サービス料がべらぼうに高いと騒いでいるだけなんですね。だったら頼まなきゃいい(預金しなきゃいい)のに・・・。



小野正芳

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