簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

 皆さん、こんにちは。
 
 少子高齢化がすすみ、不景気が続いている現在、社会保障の機能強化が叫ばれています。現在進められている消費税増税は税と社会保障の一体改革の一環であり、消費税増減分を社会保障四経費(年金・医療・介護・少子化対策)に充てることが明記されています。では、なぜ社会保障の機能強化=社会保障四経費の増額なのでしょうか? 今ある資源をどのように使うかという観点から考えてみると、必要なのは少子化対策だけではないでしょうか? 少子化対策さえしっかりやれば、年金・医療・介護については安心できる状態になると思うのです。

 社会保障を行うためにはお金が必要です。国はそのお金を社会保険料と税で賄わなければなりません。社会保険料と税を払うのは現在および将来の現役世代です。現在及び将来の現役世代の人数が多くなり、現在及び将来の現役世代の所得が多くなるほど、社会保険料と税も多くなります。ですから、社会保障の機能強化を行うためにはお金の出し手である現在及び将来の現役世代を強化する必要があります。

 社会保障四経費のうち、現在及び将来の現役世代に関わるのは、ほぼ少子化対策のための経費だけです。少子化対策として保育所の拡充や児童手当などが挙げられています。保育所を拡充すれば、現在の現役世代が子供を預けて働くことができ、現在の現役世代の所得を向上させるでしょう。その結果、現在の現役世代が支払う社会保険料や税が増加し、社会保障の機能強化につながるでしょう。そうすれば、医療費の問題を考えることなく医療行政を行うことができるようになるかもしれません。また、児童手当を充実させれば子供を持つインセンティブが高まるかもしれません。子供が増えればそれだけ将来の現役世代が増加するのですから、彼らが支払う将来の社会保険料や税が増加します。

 でも、現在行われていることは、所得再分配機能という名目による「逆」所得再分配です。本来、所得再分配とは、国(自治体)が所得の高い人から社会保険料や税を徴収し、所得の低い人に配分することです。そうすることで、経済的な不公平が抑制されるわけです。

 ところが、驚くべきことに、現在の日本では政府が所得の再分配を行うと貧困率が高くなっているのです。つまり、所得の低い人から社会保険料や税が徴収され、所得の高い人に分配されているわけです。格差社会になるのも当たり前ですね。

 政府が間に入ることによって生じる社会保障の取引コスト(税務署や社会保険事務所の維持費)も考えれば、「逆」所得再分配効果がもっと高まる計算になるかもしれません。



小野正芳

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