簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

 皆さん、こんにちは。

 検定試験合格率の上昇傾向の原因は何でしょうか? あくまでも推定に過ぎませんが、受験者数の減少だと思います。

 日本はいろいろなことが4月に始まりますので、簿記の勉強も4月に初めて11月に受験する人が最も多いのでしょう。過去の検定試験でも、年間を通じて6月試験の受験者が最も少なく、11月試験の受験者が最も多い傾向にありましたので、試験実施月ごとに比べなければなりません。

 前回示した表で見てみると、H22年以降、試験実施月ごとにみると受験者が減少傾向です。例えば、2級の6月試験の受験者は88,621名(H22)→69,890名(H23)→64,353名(H24)となっています。これは商工会議所にとって見ると収入減少につながります。簿記検定は民間資格です。商工会議所は活動資金を自ら獲得する必要があります。各種検定試験の受験料は大きな財源でしょう。第131回試験では

 3級:2,500円×107,370名=268,425,000円
 2級:4,500円×64,353名=289,588,500円
 1級:7,500円×14,837名=111,277,500円
            合計=669,291,000円
            年間=約15億円くらい?

の受験料収入があるわけですね。年間事業収入は約20億円だそうです(商工会議所HPより)。ということは、商工会議所の事業のうち約3/4を簿記検定が占めているということですから、簿記検定は商工会議所の主力業務なんでしょう。その簿記検定でかなりの受験者の減少が怒っているわけです。当然ながら、受験生を増加させるような施策をとらなければなりません。それが合格率の上昇ではないか思うのです。

 特に、3級はその要因が大きいだろうと思います。なぜなら、常識的に考えて2級以上の受験者数は3級の合格者数に依存するからです。普通、3級に合格したら2級を受けようかということになりますよね。その意味で、3級の合格率がかなり高めで安定するようになったのではないかと思うわけです。

 これが受験生に与える影響は今後2つに分かれると思います。1つは、合格率上昇→受験者増加→資格取得者増加→簿記資格(知識・能力)の価値低下という、受験者にとって見ればあまりうれしくないパターンです。資格取得者(簿記技術を企業に提供する労働者)が増えれば、それを需要する企業は安く買える(給料を下げることができる)ことになります。よって、さらに長期的に見れば、簿記の知識・能力の価値はさらに下がるかもしれません。

 もう1つは、合格率上昇→受験者増加せず→資格取得者減少→簿記資格の価値上昇というパターンです。簿記・会計関係者にとってみればうれしいパターンですね。さらに長期的にみれば有資格者が少なくなった簿記検定の人気が復活することになるのでしょうが、10年くらいのスパンでみれば、現在の有資格者にとってみてうれしいパターンです。

 私は後者のパターンになると信じて仕事をしようと心に決めています。やはり、「将来いいことがある」と思っていなければ日頃のパフォーマンスも悪くなってしまいますからね。

 いずれにしても、上記の分析が正しければ(受験者の減少が合格率上昇につながっているのであれば)、合格率は今後もそれほど下がるということはなく、現在受験している方々にとってみれば合格しやすい環境が続くでしょう。11月試験もがんばっていきましょう。



小野正芳

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