簿記講座の講師ブログ

やっぱり難しいですね

 皆さん、こんにちは。

 12月に政権がかわった結果でしょうか、最近はいろいろな政策が出てきています。でもまだまだ経済学・統計学に基づく効率的な政策は少なく、利害関係や感情(思いつき)に基づく政策が多いようです。諸外国の状況はわかりませんが、日本では国レベルの政策に限らず、個々の企業レベルの意思決定も含めて、利害関係や感情に振り回される意思決定であるように感じます。

 例えば、来年度以降、生活保護支給額が7.3%引き下げられました。でもこれは、生活保護「支給額」というのがミソです。

 生活保護は大きく分けて、対象者へ直接支給される現金と、医療費に分けられます。生活保護受給者は毎月一定額の現金を受け取るだけでなく、無料で医療を受けることができます。では、この医療費の割合がどれくらいでしょう? 生活保護費全体のうち約半分が医療費なんですね。支給額が約1.6兆円、医療費が1.3兆円です。このうち、7.3%減らされるのは支給額の方で、医療費についてはジェネリック医薬品の使用を推奨する程度です。つまり、製薬会社の取り分は多少減るでしょうが、医者の取り分は減らないということです。

 この原稿を書いている段階では、2%の物価上昇を目指すアベノミクスへの期待で円安・株高状態です。しかし、つい最近まではデフレが10~20年くらい続いていたといわれており、物価水準はかなり切り下がっています。私の学生時代、某弁当チェーンで大好きだった唐揚げ弁当は450円だった気がします。でも今は300円台ですよね。その一方で、生活保護の水準はそれほど引き下げられていません。デフレの影響で生活保護費は5.8%の支給超過の状況となっているそうです。これが支給額削減の主な理由とのことです。

 もう論理破綻ですし、プンプンにおいますよね。デフレの影響を理由にするのであれば医療費分(診療単価=お医者さんの人件費)も減らさなければいけませんからね。そういえば、日本医師会は自民党の有力な支持団体です。
国民の多くは、デフレのためにその所得を減らしているようですから(サラリーマンの平均年収はこの10年で50万円くらいダウンしてます)、働けるのに働かずに受給者になっている人(仕事を選り好みして働かない受給者が増えている現状はいろんなところで報道されていますね)を攻撃すれば、世論を味方に付けることもできるし、ほんの少しですが支出も減るし、支持団体への利益誘導も続けられます。

あ~あ、利害関係に基づく利益誘導政策。また同じことの繰り返しです。変わるって難しいですね。