簿記講座の講師ブログ

しばらく貯蓄

 皆さん、こんにちは。

 最近は、アベノミクス効果によって高額消費が盛んになっているそうです。ベンツの中でも高額な1,500万円もするC63AMGが飛ぶように売れているというディーラーのインタビューや80万円のロレックスが飛ぶように売れているという百貨店のインタビューなどが報道されていました。

 このような現象を、経済学では資産効果とよびます。資産効果とは株式や不動産など所有する資産が値上がりすると、実際に収入を得たような気になって消費をしてしまうという効果のことです。株価が上昇すれば所有している株の価値が上がり、売却すれば購入価格より多くのお金を得ることができます。まだ売却前で換金していないとしてもなんだか得した気分になって、ちょっと豪勢なレストランに行ってしまうわけです。

 ちょっと豪勢なレストランで食事をすれば実際にお金を払わなければなりません。レストランに支払われたお金は経営者や従業員の懐に入る、現実のお金になります。そして、レストランの経営者や従業員は本当に収入アップとなるわけです。

 つまり、資産効果とは、株の値上がりという「売却すれば儲かる」という状態を作り出すことで、仮に売らなかったとしても現実に誰かに収入アップをもたらす効果であり、景気を良くすることにつながります。

 アベノミクスでは株価上昇と円安が生じました。日本株を持っていれば資産効果を享受することができ、また、何でも良いので海外資産を持っていれば資産効果を享受することができたわけです。そして、多くの人が実際にお金を使い始めたわけですね。

 しかし、ここであまのじゃくな私は逆の行動に出ます。しばらくは貯蓄です。実際にお金を使い始める人が多くなれば小売店には多くの買い物客が押し寄せます。多分、先月書いたアウトレットの状態は資産効果の影響をもろに受けたのでしょう。モノを買うために多くのお客さんがお店を訪れますから、必然的にお店は混雑します。すると、モノを買うために時間がかかりますし、受けることができるサービスも減ってしまいます。わんさか客が来たときに、販売員が一人一人の客にかける時間は間違いなく減るでしょう。また、多くの人がモノを求めます(需要が高まる)から値段は上がります。バーゲンの時も劇的な値下げは少なくなるでしょう。つまり、同じモノを買うとしても高く、混雑したお店などサービス水準が下がった状態で買い物することになるわけです。とすれば買い物1単位の満足度が低くなります。

 多くの人々がこれまで節約をしてきてからその反動が出ているという分析もあります。多くの人々が鬱憤を晴らし終わるまでしばらく待っていましょう。