簿記講座の講師ブログ

3年育休

 皆さん、こんにちは。

 安倍政権では様々な政策が繰り出されていますが、三本の矢のうちの成長戦略の一環として育児休業を3年間認める政策の検討に入ったそうです。現在は法律上、1年間の育休しか認められていませんが、これが3年に延長されます。

 現在、少子高齢化が進んでおり、このままでは労働力が少なくなることは間違いありません。労働力が少なくなれば国民生活のために供給される財・サービスの量も減り、質も落ちるでしょう。多くの労働力を使って多くの財・サービスが提供されるからいろいろなところで競争が起き、競争によって財・サービスの質が上がるのですから。労働力が少なくなれば、企業は人材の取り合いを始めるでしょう。新卒者は苦労することなく就職することができます。売り手市場ですから、在学中にたいした努力も必要としなくなるでしょう。人材のレベルが落ちますから新たな財・サービスが生み出される可能性が低くなるだけでなく、既存の財・サービスの水準すら維持されなくなる可能性も高いわけです。そうなると企業そのもののレベルが下がり国際競争をくぐり抜けて成長する異なんて不可能になります。

 そのため、一定の労働力が確保される状態を維持しなければなりません。子どもの数は減っているのですから、これまで様々な原因で労働から遠ざかっている人たちに労働してもらうようにしなければなりません。その代表者が出産・育児のために仕事を辞めてしまった女性たちです。中には大学教育まで受けて相当な能力があるにもかかわらず、出産・育児のために退職せざるを得ない女性もいます。労働力の減少につながっているだけではありません。多くの税金を投入し彼女たちを教育しているにもかかわらず(授業だけでは経営が成り立ちませんので、国立大学だけでも1兆円を超える税金が投入されています)、彼女たちが得た能力を生かし切れていないということも意味します。つまり、税金の無駄遣いでもあるわけです。

 ですから彼女たちの能力を生かしてもらい、かつ労働力を増加させる必要があるわけです。そのための施策として安倍政権では3年育休という政策を提示しました。しかし3年育休が実現したとしても、現行でも認められている1年育休と何が変わるかといえば、ほとんど変わることはないかもしれません。そもそも、1年育休後に復職できない最大の要因は子どもを預ける保育園がどこもいっぱいであるということです。3年育休になったもしても保育園が増えなければ子どもを預けることができませんから、女性たちは退職するしかないでしょう。3年のうちにどれだけ保育園を増やすのかを確約しなければいくら3年育休を導入したところで意味はないでしょう。なんだか、目的と手段がずれているような気がしてならない、今日この頃です。