簿記講座の講師ブログ

消費税の転嫁とセール禁止

 皆さん、こんにちは。

 前回は自分が弱い人間であることが明らかになりましたが、今回からまた言いたいことを言わせていただきます。

 来年の4月から消費税が8%に上がります。消費税を増税するときにはいくつかの問題がありますが、その中でも増税分を販売価格に転嫁できない事業者が出る点が指摘されています。

 そのような事態になる理由は次のとおりです。

 大手の小売店は多くの業者から商品の提供を受けています。納入業者は商品代金と消費税を大手の小売店から受け取ることになります。しかし、ここで力関係がものをいいます。当然ですが、両者の力関係は納入業者<大手の小売店です。そうなると何が起こるでしょう。大手の小売店は、消費税が上がっても、その分だけ商品代金を割引させて、消費税が上がる前と同じ価格で仕入れようとするでしょう。力が弱い納入業者は買ってもらうためにそれを受け入れるしかありません。

1997年に消費税が3%から5%に上がったときに「消費税還元セール」をやったところ、小売店の売上が大幅に増えました。今回も小売業者は実施するつもりだったようです。そうなれば、消費税アップ分だけ納入業者の手取りが減ることになります。ちなみに、バーゲン時には30%引きをしてもそれほど売れないそうですが、「消費税還元セール」という名目で5%引きをするとめちゃめちゃ売上が増えるそうです。あぁ、また騙されている・・・。

それはさておき、今回はそこに政府が待ったをかけました。割引原資が納入業者の負担となるからため「消費税還元セール」のようなセールは禁止なのだそうです。

 でも今の消費税徴収制度を変えない限り、絶対に力の弱い納入業者が守られることはないでしょう。「消費税還元」などと銘打つことは禁じられますが、「春のフレッシュセール」などと銘打つことは認められることになりました。

こうやってまた論点がすり替えられます。セールのタイトルに「消費税が免除される」ようなあろうがなかろうが、値引販売されればその原資は納入業者への値下げ圧力につながるのです。消費税アップをきちんと転嫁させるためには消費税の徴収方法を変えるしかありません。今の消費税の徴収方法はいってみれば税務署がラクに徴収できる方法です。税務署もラクに徴収できて、転嫁もきちんとなされるような徴収方法はないものでしょうか? そんな徴収方法があればビジネスモデル特許がとれるかも?