簿記講座の講師ブログ

若年層のためのNISAなのに・・・

皆さん、こんにちは。

NISAの運用が始まり約3ヶ月ほどが経ちましたが、
皆さんはお使いですか? 

NISAとは、年間100万円以内の投資に関する配当と
売却益に対する税金がゼロになる制度です。

国民の資産形成を促進するとともに、
個人のお金をリスクマネーとして株式市場などに供給するための制度です。

特に少子高齢化が進む日本では、若年者ほど資産形成の重要性が高まっています。
要は、日本政府が「税金をただにするから自分で資産を形成しなさい」といっているわけですね。

ところがNISA口座を開いた人の半数以上は60歳以上の高齢者だそうです。
アララってことですね。日経新聞では、この原因として、
若年層にお金・関心・成功体験がないからだと分析しています。

若年層にお金がないのはその通りでしょう。
若年層の収入はどんどん下がっているのは、国税庁などの調査でもその通りです。

でも、若年層全体の収入が下がっているのです。
決して、本人の努力不足などによる一部の若年者だけの話ではありません。

要するに個人の問題ではなく、構造問題です。
若年層が投資に関心を持たないのも当然でしょう。

ワーキングプアが社会問題化しているくらいです。
給与水準がかなり下がった若年層は日々の生活だけで精一杯でしょう。

お金があってはじめて、そのお金をどのように増やそうかという
関心を持つことができるわけであって、お金がないのに投資に関心を持てるはずがありません。

成功体験については、もうこれは若年者にとってどうしようもありません。
日経平均株価は1989年をピークに、アベノミクスで盛り上がっている現在ですら、
ピークの半分以下です。

ただでさえ収入が減っていてお金がない若年者が
相場を動かすほどの力を持つことなどできないのですから、
自分の努力で投資に成功することはかなり難しいでしょう。

ほとんどの若年者は仕事をもっています。
ですから、投資に当てることができる時間などあまりなく、
基本はインデックス投資にならざるを得ません。

ということは、若年層が成功体験をするためには、
個々の企業の株価ではなく、市場全体が盛り上がらなければなりません。
でも、それは期待薄です。

要するに、特に若年層のために作られた
NISAという制度を若年層が使わない理由を、
お金・関心・成功体験がないことに求めても、
それは何も解決しないということです。
 
でも、一方で、現在の社会情勢を考えると、
若年層は、絶対に自分で資産を形成しておかなければなりません。

しなければならないけれども、
するためのきっかけさえ提供されていない。

30年後はどうなることでしょう?