簿記講座の講師ブログ

よくあるご質問-貸借対照表での表示

皆さん、こんにちは。

よくあるご質問の中で、「貸倒引当金」や「減価償却累計額」は、
仕訳では負債と考えて処理する(貸方に記入する)のに、
貸借対照表では資産の下(借方に)記入するのがよく分からない、
というものがあります。

そもそも「貸倒引当金」は「売掛金」「受取手形」のうち、
回収不能と予想される金額です。

たとえば、「売掛金」1,300、「貸倒引当金」100の場合、
もらえるはずの商品代金(売掛金)1,300のうち、
100が回収できなさそう(貸倒引当金)と予想されているわけです。

したがって、実質的もらえる金額である「売掛金」は差額の1,200となります。

要するに、「一応1,300の「売掛金」があるんだけれども、
そのうち100が回収不能と予想されるので
実質的な「売掛金」は1,200と考えるわけですね。

ただし、実際に相手が倒産したわけではないので、
「「売掛金」は1,300のままにしておいて、
回収不能と予想される分を「貸倒引当金」として
別個に記載しておきますよ」ということです。

ですから、「貸倒引当金」を「売掛金」から差し引く形で記載します。
そのため、「売掛金」という資産の下に「貸倒引当金」を並べて、
引き算をする形で表示するんですね。

「減価償却累計額」も同様です。「減価償却累計額」は、
備品などの固定資産のうち、すでに使った金額を表します。

たとえば、「備品」900、「減価償却累計額」400の場合、
900で購入した「備品」のうち400が使用済みということです。
つまり、「900で購入した「備品」のうち400が使用済みなので、
実質的に残っている「備品」は500分です。」ということですね。

ですから、「減価償却累計額」を「備品」から控除する形で記載します。

このように、会計では“総額法”によって記録することを原則としています。
このような表示を行う理由の一つは企業の規模を明らかにするためです。

「400億円の備品」と表示された場合と、
「900億円で購入した備品のうち500億円分使用済み」と表示されるのでは、
受ける印象が全く異なります。

企業規模が大きくなるほど必要とされる備品も多くなるでしょうから、
企業規模を表すためには後者の表し方が親切な表し方なんですね。