簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

皆さん、こんにちは。

前回のブログで、会計知識と年収が正の比例関係を
持つことを明らかにした研究の存在を紹介しました。
今回は、その中身を少し詳しく紹介しましょう。

結論は、「基礎的な会計知識が多い人は豊かになっています」
ということです。

新井康平氏と服部康宏氏は「会計知識プレミアム」
(日本会計研究学会第73回自由論題投稿論文、2014年)
と題する論文の中で、社会人を対象とした会計知識と報酬の関係を調べ、
「会計知識は特に入門的な知識の量が報酬に正の影響を与えていることが確認できた」
一方、「会計知識の厳密な理解は必ずしも年収の増減と結びついていない」と述べています。

ここでいう入門的な知識の量とは、
「単にその用語を知っているかどうか」であり、
「全く知らない」(0ポイント)~「大変よく知っている」(5ポイント)
で自己申告してもらい、集計されています。

会計知識の厳密の理解とは
「その用語がどのような場面でどのように使われるのか」ということであり、
ビジネス会計検定で出題された知識の使い方に関する問題を解いてもらって、
その得点が集計されています。

どちらかというと多くの知識を詳しく知っていて、
それを適切に使いこなしているほうがより仕事に役に立ち、
その結果、会社内でのポジションも上がり、
報酬も高くなるように想像してしまいますが、
そうではないかもしれないということです。

統計処理の結果は、入門的な知識の量が99%の確率で報酬と結びついており
(「1%有意水準で統計的に優位」といいます)、
入門的な知識のポイントが1ポイントあがるごとに報酬が4.8%増加しているということでした。

極論すれば、「全く知らない」知識が「聞いたことがある」になるだけで、
報酬が4.8%増加するということなんですね。

しかも、経営学的な知識の影響を取り除いても、
「入門的な知識の量が95%の確率で報酬と結びついており、
入門的な知識のポイントが1ポイントあがるごとに報酬が6.8%増加する」
という結果が出ています。

要するに、経営学などの他の専門知識など知らなくても、
入門的な会計知識が多ければ多いほど、報酬が高くなるということですね。

この要因として様々な事柄が考えられますが、
会計の知識が多ければ多いほど、その人のデータの扱いが論理的になり、
より適切な意思決定が可能になり、
仕事での成功を得やすくなるということなのではないでしょうか。

また、個人の生活も経済的な意思決定の連続ですから、
会計的なデータにもとづく意思決定が生活の質を高めているとも考えられます。

この結果にもとづくと、3級を100点目指す勉強をするより、
ぎりぎり合格できるレベルでいいので、はやく2級まで取った方がいいということですね!



小野正芳

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