簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

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2015/10

教育と統計

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皆さん、こんにちは。

いやいや、やっと出てくれました。
教育を統計(データ)で語る本が。

数字を扱う職業に就いていると、
数字に裏付けられた主張でなければ
なかなか受け入れられないという職業病を発症してしまいます。

例えば、日本には
「勉強は子ども自身のためにやるんだから、
テストの点がよくてもご褒美なんてあげてはいけない」
という美しい慣習がありそうです。

一方、職場で営業成績がよければ臨時ボーナスが出ます。
社員も自分が成長するため
(どうやったら売れるかをよく考え、自分自身のスキルを高めるため)
に一生懸命がんばっているわけです。

今時、“会社のために”と思ってがんばるよりも、
“自分のために”と思ってがんばって仕事している人が多いでしょう。

つまり、子ども達が教育現場で提示されることと、
大人になってビジネスの現場で提示されることが異なっているんですね。
なぜ、こんなことが起こるのでしょう?

仕事の場では、臨時ボーナスをあげると社員の士気も高まるし、
会社の立場では社員にあげたボーナス以上の利益がもたらされるでしょう。

しかも、経営者は、臨時ボーナスをあげたほうが
よい結果につながっているということを、過去のデータを使って検証した上で、
ボーナスの種類・金額を決めて、実行しているでしょう。

一方、教育の場ではご褒美をあげた場合と
あげない場合の違いをデータとして蓄積することすらしていません。

つまり、どっちがいいかは発言者の“想い”次第なんですね。
ご褒美をあげた方がいいという人もいれば、ダメだという人もいる
(圧倒的に後者が多いようですが)。

その根拠は? 私がそう思うからだ!となるわけです。

中室牧子著『学力の経済学』では、
この辺の検証結果をアメリカの事例
(ウリ・ニーズイィー著『その問題、経済学で解決できます。』)
から紹介しています。

結論からいうと、適切なタイミングで適切なご褒美を挙げたほうが、
子どもの学力は伸びるということです。
そりゃそうですよね。
馬だってにんじんをぶら下げられるとがんばりますって。

著者は同時に嘆きます。
日本では、適切な教育政策を提言するために、
A小学校でご褒美をあげて、B小学校でご褒美をあげないという実験を行い、
それらを比較検討し、適切解を得る研究すら拒否されると。

しかも、こんな議論になると、
ご褒美=お金と捉えられる視野の狭さが悲しいと。

アメリカの実験で子ども達にあげたご褒美はお金だけではありません。
トロフィーとか、スタンプカードとか、
子ども達にとってそれを集めること自体が
楽しいものは何でもご褒美になるんです。

社会人の場合も、もらえるご褒美はお金以外であってもうれしいかもしれません。
1週間の特別休暇や次のプロジェクトの責任者といったことでも、
社員のやる気に火がつく可能性は高いですよね。

とにかく、この本が言いたかったのは
“データ”に裏付けられた“想い”が役に立つということでしょう。

あぁ、なんかスッキリした!



小野正芳

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