簿記講座の講師ブログ

アカウンタビリティの話

皆さん、こんにちは。
簿記講座担当の小野です。
暑さも本番になってきました。
いろんなことがあって大変だと思いますが、今日もがんばっていきましょう!

舛添さんが叩かれまくった結果、辞職に追い込まれました。
何が悪かったのでしょう?
ご本人がおっしゃる通り、法的には問題ないことばかりだったはずです。
法治国家である日本で法律を犯していないのに、なぜ辞職に追い込まれなければならなかったのでしょう?
もちろん、「対応が悪かった」というのはありますが、「対応が悪かった」くらいでやめなければならないなら、
クレーマーに目をつけられた企業の社員はみんな辞職させられることになってしまいます。
少し深く考えて、その理由を知っておくべきかもしれません。
 
いろいろな見方があるかと思いますが、今回の辞職に対して、会計が明快な回答を出してくれます。
会計は英語でaccountingといい、accountabilityからきています。accountabilityは説明責任のことです。
そもそも会計は企業に資金を出している人々に対して、企業の状況を教えるために行われます。

例えば、株主は企業にお金を出資していますが、出資したお金がどうなったのか、その結果儲かったのか、
どのくらい配当できるのかについて、企業が株主に教えるために行われるのが会計です。

ですから会計はルールがなくてもきちんと行われるはずです。
出資したお金について説明しない企業があったとすれば、そんな企業に出資する株主はいませんから。
出資してもらえなければ企業はそもそも成り立ちませんので、
出資を集めるために企業は自らの活動について自発的に説明するはずなんです
(ただ、複数の企業を比較するときに同じような計算結果を比べるほうが比べやすいので、計算方法のルールなどがあるにすぎないのです)。

ここでのポイントは、他人のお金で事業を行っている主体は、
そのお金の使い方について出資者に説明しなければならないということです。

では、政治家はどうでしょう? 政治家は税金という国民が出資したお金で公共サービスの提供という事業を行っています。
しかも、憲法で納税の義務を課せられている国民は、出資先が信用できないからお金を出さない(税金を払わない)という選択肢はとりえません。

企業が信用できないならば出資なければいいだけの話ですが、
政治家が信用できないからといって納税からは逃れられないのです。
ですから、税金を使って事業を行う主体は、企業以上に出資者に対する説明すべきなのです。
税金というお金の出資者である国民はこの点に怒ったわけです。

まさに法律以前の話で、お金の受け手が必ず負うべき説明責任が果たされていなかったということなんですね。