簿記講座の講師ブログ

よくあるご質問 -退職給付会計について-

皆さん、こんにちは!
簿記講座担当の小野です。
いやぁ、毎日暑いですね! バテないように体調管理にはご注意を!

今月は退職給付会計に関するご質問を取り上げます。
ご質問の内容は1級に関するものですが、理解を含めるために取り上げたいと思います。

ご質問)
(1)退職給付引当金が給料の後払いと考えて見積もり計上するということは
理解できました。企業は、新しく社員を雇う度に退職給付引当金を計上している
という理解で良いでしょうか? 
(例えば今年度50人の新入社員を雇ったとしたらその社員分の
退職給付引当金を今年度から毎年毎年、退職するまで計上していくということですか?)

(2)もし退職金として支払うお金が不足する事態が生じたとすれば、
それは退職給付引当金の計上を少なく見積もっていたか、
または計上していなかった部分があったからということになるのでしょうか?

回答)
(1)年度末に、社員が当期に働いた結果支払うことになるであろう
退職金(退職年金)部分についてテキストにある仕訳を行います。

(2)これには2つの解答があります。
1つはご指摘のとおりです。あくまでも従業員に支払うであろう退職金(退職年金)を
見積もり計上するので、その見積もりがずれるということはあり得るでしょう。
毎年年度末に見積もりを行うわけですから、ずれが生じた部分については、
見積もりのずれがわかった時点でそれぞれ修正します。

もう1つの解答は従業員の退職時に、退職金として支払うお金(現金など)が
企業内にあるかどうかです。退職給付引当金の仕訳では

(借)退職給付費用 ××  (貸)退職給付引当金 ××

という仕訳をするだけです。当期の給料に該当する費用が発生したことを、
未払給料に該当する負債があるということを示すだけですね。
その未払給料(退職給付引当金)を支払うための何らかの資産を
積み立てる仕訳をしているわけではありません。
よって、上記の仕訳を続けたからといって、
従業員の退職時にそれ相当の現金等が積み立てられるわけではありません。
そこで、外部の金融機関で退職給付引当金に相当する積立を行うこともあります
(この取引・処理は1級の範囲なので2級では出てきません)。
その積立を行っていれば、従業員の退職時に、退職金・退職年金を支払うためのお金を確保できます。