簿記講座の講師ブログ

マイナス金利で税収が減る

皆さん、こんにちは!
簿記講座担当の小野です。
第145回検定試験まであと約1ヶ月。準備は順調に進んでいますか?

年末年始には、経済的に気になるニュースがいくつか報道されました。
銀行の国債保有額が激減しているというニュースはとても気になるニュースのひとつですね。

銀行は、2013年3月末には166兆円の国債を保有したそうですが、2016年10月末には84兆円に半減したそうです。
銀行も民間企業ですから損するような売却はできませんので、国債の売却の際に利益を獲得しているはずです。
国債の価格と金利は逆方向に動きます。金利が高くなれば価格は下がり、金利が低くなれば価格は上がります。
皆さんご存知の通り、現在はマイナス金利政策の影響でかなり低い金利水準となっていますから、
国債価格はかなり高い水準となっています。

また、財務省が国債を売り出す時の価格より高い価格で日銀が購入していることもあり、
銀行にとって、国債を買ってきて、日銀に売るだけで儲かる状況となっています(このような取引を日銀トレードというそうです)。

例えば、5年物(満期)国債は-0.13%の利回りとなっています。
額面100円の5年物国債を買うためには101.12円支払います。つまり、101.12円を国に貸せば、5年後に100円返してもらえるということです。
ただし、年間0.1円ずつ利息をもらえますので(5年で合計0.5円)、101.12円貸せば、5年間で、
利息込みで100.5円返してもらえるということになるので、5年で0.62円の損失、よって、年間の利回りは-0.13%ということになるわけです。

その途中、日銀に売却すれば、101.15円などの水準で買い取ってもらえます。ですから、銀行にとって必ず儲かるわけですね。
しかし、日銀は、銀行から101.15円で買い取っても、国から101.12円しか返してもらえませんので確実に損します。つまり、銀行の利益が日銀の損失となるわけです。
日銀は株式会社であり、財務省が株式の過半数を所有している特殊法人です(残りの株式は上場されていますので、私たちも日銀の株主になれます!)。

そのため、日銀の利益はほとんどが国庫に納付されます。日銀の利益が減れば国への納付額が減り、
つまり、政府の税収が減るんですね。その分だけ国民負担となるわけです。

現在の政策にはこういった(あまり報道されない)負の側面がたくさんありそうです。
政府には、このような負の悪影響が一気に噴出してめちゃめちゃにならないようにコントロールしてほしいと思いますし、
我々自身もよく観察して自らを守る方策を考えておかないといけないですね。