簿記講座の講師ブログ
金融緩和でカネ余り! -でもそのお金はどこにある?-

皆さん、こんにちは!
簿記講座担当の小野です。

今日もがんばっていきましょう!

金融緩和。よく聞く言葉ですね。
金融緩和によって世の中に多くのお金が提供されてジャブジャブになる、
なんて話をよく聞きますが、何となく分かるような分からないような感じがします。

今はカネ余りになっているとも聞くけど、
その余ったお金をだれが持っているでしょう?(私は全然持っていません!)

まずは、600兆円ものお金が、どうやって世の中に
お金が提供されているのか確認してみましょう。

もともと2012年末時点で日銀が提供していた
お金は100兆円くらいだったけど、そこから黒田バズーカと呼ばれる金融緩和で、
今は600兆円提供している状態になっています。

日銀が世の中にお金を提供する方法として最もポピュラーなのは国債購入です。
民間銀行などが持っている国債を買い取って、民間銀行にお金を渡します。

もともと、政府が国債を発行する(借金する)と、
民間銀行から政府にお金が流れています。

そして、政府が、年金を払ったり(コロナ対応のための給付金を払ったり)、
公共事業の代金を払ったりすれば、国民にお金が流れます。

要するに、(順番は前後しますが)
日銀→民間銀行→政府→国民というようにお金が流れ、
世の中に回っていくわけですね。ざっくりいって、
日銀が提供している600兆円のうち480兆円くらい(8割!)がこのルートです。

他にも、
・日銀はいろんな企業の株を買っていて、そのルートで35兆円くらい
・直接、企業などへの貸し出しで55兆円くらい
・外国経由で30兆円くらい

まとめると、日銀は、国債(政府)経由480兆、株(株主)経由35兆、
その他85兆、合計600兆円くらいのお金を世の中に提供しています。

じゃあ、そのお金は誰が持っているのでしょう?
結論から言うと、個人か企業が、現金・預金として持っています。
その金額たるや、個人が1,100兆円くらい、企業が300兆円くらい。
合計1,400兆円くらい!

えっ? 何で1,400兆円もあるの?
日銀が提供しているお金は600兆円じゃないの?
そんな疑問が思い浮かぶでしょう。

実は、日銀が提供したお金は、
世の中を回るうちに増えていくんです!

例えば、私(みなさん)の父が、年金として政府から30万円もらったとしましょう。
父はそのお金を銀行に預けたとします。このとき父が持っている預金は30万円です。
そして、銀行がこの30万円をA社に融資したとしましょう。
A社は借りたお金を預金に預けているとします。

つまり、銀行が誰かからの預金を別の人に貸し出す役割を持つことによって、
父も預金を30万円持っていて、A社も預金を30万円持っている
(借金もあるけど)状態ができるわけです。

こうやって、世の中で使えるお金は
60万円に増えることになります。

その結果、日銀は世の中に600兆円しかお金を提供していないけど、
いろんな個人・企業の財布の中・銀行口座の中に1,400兆円のお金があるわけです。

でも、個人で1,000兆円もお金持ってるっていっても、
お金持ちだけじゃないのと思ってしまいます。
私も持っていないので、強くそう思います(笑)。

ただし、そのあたりの状況は詳しく分かりません。
ただ1つ言えるのは、2020年4月から8月にかけて
世の中の現預金が80兆円くらい増えているということです。

そして、その時期、個人、企業に対して
いくつかの名目で給付金が支払われてたってことです。

給付金の分くらい個人の現金・預金が増えていて、
麻生財務大臣も言っていたけど、一律10万円の特別定額給付金を
使わなかった人がそこそこいるのかもしれませんね!