簿記講座の講師ブログ
GPIFが過去最高の収益

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 だんだん、春っぽくなってきました。眠くならないように!

 もう一つ株価関連の話題です。

 私達が納めた年金保険料を運用しているGPIFが、2月上旬に、2023年度の運用成績を発表しました。その額は驚きの34兆3,000億円のプラスです。2022年度末のGPIFの資産が189兆円でしたので、2023年度の収益率は18%ほどです。投資で18%の収益を得るのは大変なことです。しかも2000年以降、年間で損失となったのは3年だけで残りの20年は利益を獲得し続けており、累計利益はなんと132兆円です!2000年以降、ITバブルの崩壊、リーマン・ショック、東日本大震災、コロナショックなど、何度も暴落がありましたが、それでもこの成績です。
 今年新しいNISAが始まって、長期の積立投資の重要性が叫ばれていますが、GPIFの成績はそのお手本ですね(GPIFの基本的な投資方法はTOPIXなどに連動する投資信託を買って持ち続けるやり方で、頻繁な売買はしていません)。

 GPIFは、資産を運用して増やしながら、毎年一部を取り崩して年金給付額の10〜20%を賄っています。国から高齢者への年金給付額は年間50〜60兆円程度ですから、GPIFは毎年5〜12兆円程度を賄ってくれているわけです。今年は儲けの一部を充てるだけで計画されていた年金給付をこなせたわけで、利益の残りを再投資しています。
 短期的に見れば、株価は上がったり下がったりしますが、長期的には右肩上がりです。計算が始まった1949年には177円だった日経平均は今や39,000円ですし(なんと70年で200倍!)、1896年に28ドルだったダウ平均は今や39,000ドル!です。その間に毎年配当を受け取ることもできるので、値上がりと配当を合わせると、株式投資は長期でかなりの利益を得られるわけです(だから値下がりしたときに焦って売ってはダメで、下がったときこそ買うべき)。

 これだけ優秀なGPIFですが、1つ残念なことがあります。それはほとんど報道されないために、この事実を知っている人が少ないということです。経済系の新聞は定期的に報道していますが、一般紙は損失が出たときに「神聖な保険料で株式投資するなんてけしからん」と報道するだけで、ポジティブな報道を見たことはほとんどありません。

 それはさておき、GPIFには我々の安心のために、ぜひがんばっていただきたいです。