簿記講座の講師ブログ

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 海の日まで祝日なしで続くこの時期。キツイですが何とか乗り越えていきましょう!
 
 インフレが世界を襲っています。日本も例外ではありません。
 でも、その中身を世代別にみてみると、ちょっと違った景色が見えてきそうです。

 総務省が公表する家計調査のデータによると、2011年の物価水準を100としたとき、2021年の全体の物価は105程度になりました。10年で5ポイントも物価が上がっているじゃないか!と感じがちですが、年間2%くらいのマイルドインフレが経済運営によいとされていて、多くの国々の中央銀行がインフレ率2%(年間)を目指していることを考えると、日本の物価はあまり上がっていません。
 しかもこの5ポイントの上昇の主犯はモノ自体の価格上昇ではありません。2011年の消費税は5%、2021年の消費税は10%ですから、この10年間のインフレのほとんどは消費税増税によるものです。

 世代別にみてみましょう。39才以下に限ると、2011年を100としたときの2021年の物価は101です。つまり、消費税を除くと、実質4ポイント物価が下落しています。その原因は若年層がお金をよく使うところに政府が影響を与えたからです。例えば、幼稚園・高校の授業料がほとんど無償化されていますし、大学の授業料も一部無償化されています。また、携帯電話の通信料金はこの10年間で大きく下がりました。
 一方、60才以上については、2011年を100としたときの2021年の物価は107です。この調査では、60才以上のインフレ率が下がらなかった理由は、この年代の消費のうち水道光熱費・食費の割合が高く、食料・エネルギー高騰の影響を最も被ったからです。

 若年層の給料は下がっているのに、年金は減らされない。高齢者優遇だ! こういった意見もよく目にしますが、支出面に目を向けると若年層の支出を減らす取り組みが行われています。政府が企業の給料を直接動かすことは難しい(せいぜい、首相が経団連にお願いするくらい)ので、政策として若年層の支出を減らしてあげたということでしょうか。

 さらにNISAなどを利用して投資に取り組む若年層も多くなってきます。株式投資はインフレに対応した収益を得ることができます。インフレ傾向が続くならば預貯金中心の高齢者から株式投資中心の若年層に所得が移転することになるでしょう。日本政府は意外とうまくやっているのかもしれませんね。