旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ
時刻表活用術(3)

 前回の時刻表読み取り問題は、総合管理者試験のみに出題されるテーマでした。今回は、総合と国内の両方の試験勉強に役立つページをご紹介します。

1.さくいん地図
 巻頭に、全国の鉄道路線図がカラーで掲載されています。これが大変便利で、JRの新幹線と在来線の幹線・地方交通線が一目瞭然に色分けされています。また、本州と3島の境界駅は赤枠で囲まれています。全国11か所にある特定都区市内の範囲も、明確にされています。以上の知識は、JRの運賃計算に欠かせないものです。
 JRばかりではありません。試験には余り関係ありませんが、私鉄路線、主要バス路線、航路も網羅されています(これらの活用は、次回で)。
 また、各地の主な観光地は薄い緑色で塗り分けられており、所在地と最寄り駅がわかりやすくなっています。世界遺産登録地は茶色のアミがかかり、登録世界遺産の名称も併記されていますので、国内地理の学習には絶大な威力を発揮してくれます。もっとも、路線図重視のため、日本列島の地形はかなり歪んでいます。それでも余り支障はないと思いますが、これに全国道路地図帳などがあると、より万全でしょう。
 試験では、モデルコースの途中に含まれる適切な観光地を選ぶ問題が複数問出されます。地理感覚が問われる実践的な問題です(つまり難しい)。過去のモデルコース問題のルートを、さくいん地図で追ってみると、地理感覚を養うのに抜群の効果があります。旅行業者からパンフレットをもらってきて、そのルートをなぞってみるのも大いに効果的ですので、ぜひともお試しください。
 地図の最後には特急列車の運転系統図があります。これ自体が出題されることはありませんが、料金計算でよく出てくる特急列車がどんな経路で運行されているのか、概要をつかむのに適しています。そのあと更に、主要駅の構内図がありますが、まあ、でかい駅の乗り換えは行ってみないとわかりません。

2.JR営業案内
 冊子の後半には赤いページの部分がありますが、ここには運賃・料金の早見表や計算ルールをはじめ、JRのさまざまな利用案内が掲載されています。
 最初にあるピラミッドを半分にしたような表は、新幹線全駅間の運賃料金、在来線の主要駅間の運賃料金、及び両者にまたがる区間の運賃料金の早見表です。計算問題の確かめ算用に利用することができます(中には半ピラミッドが逆立ちしたものもあります)。試験には、これをもっと簡略化したものが資料として掲載されます。
 さらにページをめくっていくと、普通運賃の計算ルール、特急料金をはじめとした各種料金の計算ルールが解説されています。これらを、試験対策用に、より詳しく解説したものが「テキスト3国内運賃・料金」ということになります。計算例もいくつか載せられていますので、テキストのサブ教材として活用してください。
 まずは運賃表の種類の多さに驚かれるかも知れません。大昔の旧国鉄時代は全国一律の運賃体系だったのですが、6社に分割民営化された後、こんなに複雑になりました。なお、これも試験では、抜粋し簡略化されたものが資料として明示されるので、表そのものを覚える必要はまったくありません。また、通勤通学定期運賃表は試験に関係ありませんので、無視してください。
 その後には「きっぷあれこれ」として、有効期間、途中下車、運賃計算の特例などが並んでいますが、特例の中には試験で問われないものもあるので、学習範囲は、あくまでテキストの解説範囲内にとどめるようにしてください。
 特急料金その他の料金に関する解説も、「まとめ」として参考にするとよいでしょう。

 次回は、試験を離れて、実際の旅行に役立つ時刻表の利用方法をご紹介します。