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新たな世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」

今回は、世界遺産候補「北海道・北東北の縄文遺跡群」についてご紹介します。
今回の世界遺産委員会で登録されれば、日本の文化遺産としては20件目で、かつ、紀元前の遺跡として国内初の世界遺産となります。

縄文遺跡群は、北海道と青森・岩手・秋田3県の17遺跡と関連する2つの遺跡で構成されています。これらの遺跡群は、遺跡の構造の変化や立地環境により、縄文時代の人々が採集・漁労・狩猟で食料を得ながら、定住の開始・発展・成熟の過程を示すものであり、農耕文化以前の人類のあり方や精緻で複雑な精神文化を顕著に示す物証として貴重なものです。

主な構成資産は、次の通りです。
・大船遺跡(北海道函館市)…縄文前期後半から中期後半にかけての大規模な集落遺跡
・大平山元遺跡(青森県外ケ浜町)…世界最古級の土器片が見つかり、縄文時代の始まりを示す
・三内丸山遺跡(青森市)…大規模な集落跡で、土偶の出土など祭祀・儀礼の発展もわかる
・亀ヶ岡遺跡(青森県つがる市)…芸術性豊かな土偶や多彩な副葬品が出土した共同墓地
・大湯環状列石(秋田県鹿角市)…縄文中期のストーンサークルを主体とした祭祀遺跡
以上の遺跡は、名称と所在地を覚えておきたいものです。

さて、試験対策として考えてみた場合、以下のような遺跡との「ひっかけ問題」が考えられます。

・北海道には、有名な遺跡として、網走市にある「モヨロ貝塚」というものがあります。これはオホーツク文化の代表遺跡として知られるもので、築いた人々も時代も縄文時代とは異なります。
・縄文遺跡は全国に多数見られるもので、長野県の尖石遺跡、東京の大森貝塚なども有名ですが、今回の登録は北海道・青森・岩手・秋田の4県のみのものであり、その他の遺跡は含まれていません。
・登呂遺跡、纒向遺跡、荒神谷遺跡、吉野ヶ里遺跡も全国的に有名な遺跡ですが、これらは弥生時代の遺跡です。

次回は自然遺産の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」についてご紹介します。