旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

呼称変更

先月、国会で「グルジア」の名称を、
「ジョージア」に変更することが議決されたそうです。
これを聞いたときは「???」という感じでした(笑)。

「よその国の名称を日本が勝手に変えて、国会で議決する必要があるのか?」
と思ったからです。
そこで、ニュースを検索すると以下のような事情が分かりました。

グルジアとは旧ソビエト連邦を構成する国で、連邦解体後の1991年に独立した国です。
このコーカサス地方のグルジアとロシア帝国には、相当長い間確執があったようです。

そこで近年、グルジア政府は再三にわたって、ロシア風の呼び方であるグルジアを、
英語表記の「Georgia」に近い呼び方に変更するよう、各国に要請していたようです。
(相当仲が悪いですね。)

日本政府もこれに応じて、
「在外公館の名称・位置ならびに在外公館勤務外務公務員給与法」を改正して、
グルジアからジョージアに変更したということです。

少し合点がいきました。
日本国内ではこれから「ジョージア」と呼ぼう、ということですね。
(ただ、この国はこれまで、管理者試験では出題されたことはありません。)

これと同じような話が2つあります。

「パゴダの国」として、管理者試験にしばしば登場するミャンマーを、
日本ではかつて「ビルマ」と呼んでいました。(「ビルマの竪琴」を知っていますか。)

しかし1989年、当時の軍事政権がビルマからミャンマーへの変更を宣言したため、
わが国もこれに応じました。しかしこれに反発した欧米のマスコミなどは、
長い間ビルマ(Burma) を用いていたようです。
(もっとも管理者試験ではミャンマーを知っておいた方が無難です。)

もう一つは、ヨーロッパの観光大国である「オーストリア」です。
2006年、「オーストリアではなく、オーストリーと呼んでほしい。」
とわが国に要請しました。

理由は「オーストラリア」と間違われやすいということでした。
オットォ!(・oノ)ノ

以下の文章は、当時の駐日大使と商務参事官の要請文の一部抜粋です。

「日本ではオーストリアはオーストラリアと常に混同されております。
この違いを明確にするため調査を始めたところ、
Österreich には以前は別の呼び名があったことが判明致しました。
… (略) … 文献を紐解けば、1873 年に発行された地理誌「萬國地名往来」には
「ヲウストリ」と表音表記されております。

1874 年のウィーン万国博覧会においても、「オウストリ」と紹介されております。
… (略)…そこで、私たちは発音と表記を考慮し長音(ー)を入れ、
呼称を 「オーストリー」 と変更することで、オーストラリアとの違いを明確に致します。
…(略)…2006 年10 月、東京」

しかしこの努力は自然消滅してしまったようです。

外務省のHPはいまでも「オーストリア共和国」として同国を紹介しています。
また、何より駐日大使館自身も、
「オーストリア大使館のホームページへ ようこそ!」となっています。 ( ゜Д゜;)!?

グルジアほど強い意欲がなかったのでしょうかねぇ。