旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

国内旅行業務取扱管理者試験実施結果の分析

10月27日に、令和3年度の国内旅行業務取扱管理者試験(9月5日実施)の合格発表がありました。少々間が空きましたが、全国旅行業協会が公表した実施結果をもとに、今年の試験を分析してみます。試験直後に公開した講評もご参照下さい。

本年度の受験申込者の総数は12,598名で、昨年度比は88.8%と11.2%減少し、昨年度に続き前年比10%超の減少となりました。2年連続のコロナ禍のもとでの受験手続を考慮すると、やむを得ないことと思います。
しかし、全受験者の合格率は42.6%であり、昨年度の37.5%を5.1ポイント上回る好結果となりました。合格率が40%を超えるのは、平成21年度以来のことです。このうち、全科目受験者の合格率は40.9%(昨年度の全科目受験者の合格率は35.8%)でした。

実は、筆者(相馬)は、試験直後の講評で「昨年度より合格率は下がる」と悲観的に予想していました。国内実務に難問がいくつか見られたので、これを過大に評価し過ぎたようです。不明を恥じると共に、難問を乗り越えられた受験者の皆様に敬意を表する次第です。

試験地別の合格率では、埼玉会場、東京会場、愛知会場、大阪会場、広島会場が40%を超えました。職業別・年齢別の合格率は公表されていません。以下、受験者数と合格者数の構成比率からの推定です。

合格者の年齢層では、25歳以上の受験者が全国平均を上回っています(ただし30歳〜39歳の層はわずかに下回りました)。
また、職業別では、旅行業、運送業は全国平均を上回りました。これはある意味当然でしょう。また、旅行業以外の一般社会人は、例年通り最も高い合格率となりました。
一方、最も受験者数と合格者数が多い学生は、推定合格率では全国平均を下回りました。学生層をはじめ若年受験者層は国内地理が弱点となりやすいので、今回の問題レベルが合格率に影響したと思われます。

参考に、同日に行われた地域限定旅行業務取扱管理者試験の結果も掲載します。
この試験では、法令及び約款は国内旅行業務取扱管理者試験と同一問題で、国内航空に関する約款及び実務知識と、国内観光地理が除外されています。

受験申込者数は、国内旅行業務取扱管理者試験とは逆に、昨年の330人から403人と122%の伸びとなり、過去最多を記録しました。合格率も、昨年の41.6%から47.4%と大きく伸びています。実施4年目を迎え、着実に浸透してきているようです。

受験者層で最も多いのは一般社会人ですが、国内試験と比べて宿泊業、観光関連業の比率が高いのが特徴です。本業の他に、地域観光のオプショナルツアーの実施を目指そうという傾向がうかがわれます。一方、学生の受験申し込みは19名にとどまりました。

実際の試験問題と正解は、国内旅行業務取扱管理者試験は全国旅行業協会のホームページで、地域限定旅行業務取扱管理者試験は観光庁のホームページで公開されています。PDF形式で無償ダウンロードできますので、ご関心のある方はご利用ください。