旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

登録制度と営業保証金制度(2)

今回は、営業保証金制度の趣旨と用語解説です。営業保証金は、旅行業者に課せられる重要な責務であり、登録制度の財産的裏付けとなるものです。
この規定も幅が広く、多くの数字が出てきますが、試験では例年1問程度の出題です。得点上はウエイトが高くはありませんが、他の分野でも関わりがあるものなので、少なくともその概要だけは把握しておきましょう。

1.営業保証金制度の趣旨
旅行業者等と旅行業務について取引をした旅行者の債権の保護をはかるため、旅行業者の財産の一部をあらかじめ国に預けるよう義務づけた制度です。旅行業者が旅行者に対する支払い(旅行代金の払戻しや損害賠償金など)ができなくなったときに、国がその供託金から旅行者に弁済を行います。
旅行業法の後半で、旅行業協会が行う弁済業務保証金制度が定められており、営業保証金制度とまぎらわしい規定がありますが、この点は次回にご説明します。

2.重要用語と注意事項

① 供託
国に財産を預けることを「供託」といいます。旅行業の登録を受けた旅行業者は、営業保証金を供託所に供託しなければなりません。供託所とは、法務局を指します。

② 債権と債務
債権者が、債務者に対して一定の給付を請求できる権利が「債権」です。たとえばお金を貸した方は、借りた方に対して債権を有するので、「金を返せ」という権利があります。この反対に、お金を借りたほうの責任が「債務」です。お金に限らず、物(サービス)の引き渡しや、労力の提供も債務です。
旅行契約に関しては、旅行業者等は旅行サービスの提供をする義務があり、旅行者は旅行代金を支払う義務があります。これを裏返せば、旅行者は旅行サービスの提供を受ける権利があり、旅行業者等は旅行代金の支払いを受ける権利があります。よって、旅行業者等と旅行者は、お互いに債権者であり債務者でもある「双務者」の関係にあります。
試験では、旅行業者の責任と旅行者の権利が重要視されています(当然ですね)。

③ 還付
財産等を元の所有者に返還することをいいます。旅行業法では、旅行業務について取引をした債権者(旅行者)から請求があった場合に、営業保証金又は弁済業務保証金から返還することをいいます。還付の対象は旅行者に限られ、旅行サービス提供業者等は対象外です。

3.数字
用語としては上記を覚えておけば十分なのですが、営業保証金制度は、金額、期間・日数など、数字が大変多いことが特徴です。主要な事項については暗記が必要です。また、他の規定との数字の違いにも注意しましょう。

次回は、営業保証金制度と弁済業務保証金制度の違いについて解説します。