旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

営業保証金制度と弁済業務保証金制度

この2つの制度は同じ趣旨の規定であり、旅行業者は、旅行者の債権の保護のために、営業保証金か弁済業務保証金分担金のどちらかを供託(納付)する義務があります。また、どちらかを供託(納付)すればよく、両方とも預ける義務はありません。旅行業協会の保証社員になったときは、営業保証金を供託する必要はありません。
逆に、旅行業協会の保証社員にならないのであれば、営業保証金を供託しなければなりません。

① 旅行業協会に加入する旅行業者…弁済業務保証金分担金を納付する
→営業保証金の供託は不要
  ※弁済業務保証金分担金を納付した旅行業者のことを、保証社員と呼びます。

② 旅行業協会に加入しない旅行業者…営業保証金を供託する
→弁済業務保証金分担金の納付は不要
  ※退会、除名等で旅行業協会の社員でなくなった旅行業者も同様です。

試験では、弁済業務に関して、以下のことが中心に問われています。

・弁済業務保証金分担金は協会に加入する日までに納付すること

・協会に加入していない旅行業者等には弁済業務保証金制度が適用されないこと

・弁済の対象は旅行者のみであること

・旅行者は還付を受けるに当たり旅行業協会の認証を受けること

・還付通知を受けた保証社員は7日以内に還付充当金を納付すること

例年、どちらの制度も各1問が出題されています。先に営業保証金制度の仕組みを理解して、それと比較しながら弁済業務保証金制度を学習するとよいでしょう。

さて、閑話休題。そもそも、なぜ紛らわしい2通りの制度があるかという疑問も涌くと思います。
これ以下は試験で問われることはないので、余談としてお読みください。

2制度が並立する趣旨は、旅行業者の負担軽減が大きな理由です。
上記のように、登録を受けた旅行業者は、旅行業協会に加入して弁済業務保証金分担金を納付するか、又は加入せずに営業保証金を供託するか、どちらかを選択することができます(加入・脱退はいつでも自由にできます)。
旅行業協会が定める弁済規約により、弁済業務保証金分担金は営業保証金の1/5の納付額ですみますので、旅行業者にとって大きな負担軽減となります。

一方で、旅行業協会に加入すると、結構な額の年会費を毎年負担しなければなりません(あくまで試験には出ませんので、このことは覚える必要はありません)。何十年も加入していれば年会費も相当な額になります。大企業にすれば大したことはない負担ですが、会社規模が小さいほど負担比率が大きくなります。
それを嫌って、協会に加入しない旅行業者も少なからず存在します。営業保証金は一時的に大きな額となりますが、年会費等は不要です。
長い目で見た場合、特に零細業者にはその負担の差は大きいかと思います。そのような事情で、2通りの選択肢を用意しているということです。